生きるために必要な距離。
距離を縮めるアート。
僕は常に「距離」の中で生きている。そのレベルを示す距離「感」とは難しいものだ。遠いと不都合があるし、近すぎるのも負担になることが多い。
距離感はどこにでも存在する。場所と場所に、心と心に。単純に場所への移動については、飛行機代も安くなったし、行くのは易しくなった。また物理的な距離を埋めるためのインターネットを使ったコミニュケーションも便利だ。
対して、心と心の距離感については、なかなか便利にならない。なぜなら、それは「人そぞれぞれだから」と言ってしまうのは簡単だ。でも、僕はそこに共通項としての解答が、ブレつつも存在していると思っている。その楽観性は大事にしたい。
阿地信美智は1963年 釧路市(旧阿寒町)生まれ、札幌市在住 。1987年 北海道教育大学釧路分校卒業 。木を素材にした立体作品を制作している美術作家である。
黒く塗られた木材のオブジェ。その作品から、僕の受ける印象は「媒体」(メディア)である。その性質が感じられる。繰り返そう、阿地信美智の作品のあるまわりは一種のメディアな空間になる。それは作品の抽象的な魅力から生まれる。そのため、単純に立体作品というよりも、空間を作り出すインスタレーションといっていいかもしれない。そして、作品には公園にあるシンボルのような、人が集い、交流するための「媒体」(メディア)であると思う。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
阿地信美智 Outdoor Worksy by Nobumichi Achi [2011-2016]
500m 美術館vol.22「北の脈々 -North Line2-」」
会期:2017年4月15日(土)~7月5日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)