カフェとBGM。あたまのなかのやりとり。
僕はカフェのBGMが気になる。いや、それだけでははない。実はあらゆる場所で気になる。例えば、僕が過去に行ったある歯医者さんでは、いつもブラックミュージックがかかっていた。口の中をデビッド・クローネンバーグが好きそうな、いろいろな道具で治療されながら「なぜブラック・ミュージックなのか」と考えていた。そうされながらヒップホップが多いな、と思った。
話はズレるが、歯医者さんの待合室に漫画「ブラックジャック」があったことも報告したい。その体験は一度ではなく複数回。だから、どこがそういう傾向があるのはないだろうか…脱線しました。話を戻します。お店等の室内空間にかかるBGMというのは、僕はとても大事だと思う。インテリアも大事だが、BGMはもっと大事だ。なぜなら耳に入るものは無視が難しいからだ。
僕が時々感じるのが、カフェ等の飲食店で「接客も、インテリアもいい。でも、BGMが残念」ということだ。これって、純粋にセンスの問題だから意外と難しいことだと思う。自分の好きなお店はBGMがいい。BGMが悪いとお店も悪く感じてしまう。しかしながら、BGMというのも趣味の問題であり、それによって僕に好かれたり、嫌われたりするのはお店にとっては迷惑なことだと思うし、余計なお世話といわれれば、まったくそのとおり。反論できません。申し訳ありません。
先に書いた歯医者のブラック・ミュージックだって、それが悪いのか?と聞かれれば、それを僕は理屈では説明できない。僕が勝手に思っている問題なのだ。うるさすぎないBGMがあれば、一般的にはそれですべてOKではないか。僕の個人的なこだわりとして、はじめてのカフェに入った時に、最初に気になるのはインテリア、そして次はBGM。言いたいことはそれだけ。
カナルは先に紹介したゴーシュのすぐ近くにあるお店だ。時間に余裕があるなら、この2つのカフェをハシゴしてみるのもおすすめする。カナルは食事メニューがあるので、ここでごはんとお茶を楽しむのがいいかもしれない。お店に入ると傾斜地にあるこのカフェの構造は天井も高。なかなかユニーク。思ったより広い空間を感じさせる。外に出られるテラスもあり、身近な緑も楽しいし、洞爺湖の眺めもバッチリで美しい。インテリアもシンプルで心地よい。ランチはミートボールをメインにした、しっかりとして食べごたえがあり、おいしかった。一緒に飲んだレモネードもおいしかった。
そして、僕はこのお店のBGMが好きだ。エレクロトロニカから、シンプルなアコーステックなポップ・ミュージックとお店のシンプルでモダンな雰囲気に合う音楽が流れていた。選曲はたまたま、そうだったのか、いつもそうなのかは、一度の体験ではわからない。僕はBGMを確認し繰り返し行ってみたいお店だ。もちろん、それ以外も素敵だから行きたい気持になるのは言うまでもない。
Text byアート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「カナル」
北海道虻田郡洞爺湖町月浦44-506
http://cafekanal.blogspot.jp/