教えるのは大変ではないですか?
と質問すると
「慣れですよ」と答えをいただく
つまり、それは言語化が難しいことだと思う
教えるというコミニュケーションは
迷路のように大変だ。そう言ってもいられない。
雑談じゃないのだから。
僕は時々前に立つ。プロジェクターの接続はOKか、配布物は足りてるのか、Wi-Fiはあるのか、机は可動するのか教える時は、そんなことを考える。教育って難しいよね。僕が目標にするのは生徒に「きっかけ」が作れればそれで最高だと思うのだ。
だから、僕はキーワードや短いフレーズを考えて、記憶に残ってもらう。あと、少しインパクトが残せればいいかなと思う。素材でいえばね、映像は経験から使うと心に残るようだ。
これが相手が子供になるとさおさら。子供のアート教育と書くと、少し特殊だったり、高尚なイメージがないだろうか?
だけど、僕は工場見学とか、遠足とか、そういったこと同じだと思う。僕は子供や専攻ではない大人に関するアートプロジェクト体験というのは、ほんの頭の片隅に残る程度でいいかなと思っている。いきなり難しい話をしても、それは教える側の自己満足で終わってしまうのではないだろうか。
いや、そんな教える人はいないと思うけど難しいことを噛み砕く手間よりも、心にひっかかかるフレーズなり体験があればいいのではないだろうか。
アートの入口を感じでもらって、そこで、本当に美術教育を受けたいなら、専門的な学校に進んでいけばいいと思う。単発的なプログラムで、学術的に教えられることは知れている。
それなら、アートについて、ひとつでいいから体験者に「想い出」を持ち帰っていただければ十分ではないかと僕は思っている。
想い出をバカにしてはいけない。僕がしゃべったほんの破片でもいいから、聞いてくれた人の記憶に残ってくれれば、僕は本望だ。
写真の作品は「へんてこな形に名前をつけよう!」という子供と大人の共作によるワークショップでありアート制作。素晴らしいクリエティブがあふれてる。
制作のプロセスはこうだ。子供が紙にクレヨンで好きな線をひく。そして、好きな形をみつけて切り取る。切り取った形を大人がプロジェクターで投影しトレースして壁面に描いていく。
自由に線をひくというのは、実は結構大変だと思う。今の僕には大変だ。それをすいすい書く子供を眺めるのはとても意味がある。また、子供の自由に描くという体験も大事なことだろ思う。なぜなら「自由」ということを考える機会になるから。
「自由に線を引くのは楽しい」それを子供たちにおみやげに家に帰ってもらえれば、
この企画は成功ではないだろうか。きっとそうなっている。
500m美術館 vol.32 「おとなもがんばるこども壁画」
会 期:2020年1月25日(土)~3月25日(水)7:30~22:00
会 場:札幌大通地下ギャラリー500m美術館
共同運営 :CAI現代芸術研究所/CAI02、一般社団法人PROJECTA
作家:笠見康大
Text by メディア・プランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
Facebook / Twitter