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帰り道、頭の中の美術展〜Hirofumi Abe / The Writing of Papers

2022.02.06

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頭の中の美術展

頭の中の美術展〜阿部寛文の展示をめぐって。

美術鑑賞の楽しみの半分、それは帰り道である。自宅を目指して歩いていく。冬ならば足早になる。頭の中には展示の思い出。もう目の前に作品はない。あるのは心のイメージだけ。それが動く背景を頭に取り入れながら反芻していく未来に。そこから作品について考えていく。心の中で自分と作品が重なっていく。この頭の中の融合作業も美術の楽しみだと僕は思う。

ベルリン在住の阿部寛文の展示会が、札幌大通のはじっこにある「古道具 十一月」にて開催された。

中に入り、右にまがるとすぐ作品が目に入る。印象。作品は刺激的で、同時になんと静かなだろう。もう、ここに30年いや300年か?くらいあったように感じられる。会場が映画の場面のように静かに呼吸している。思わず遠巻きに後ろに下がる。

作品に近づく。呼吸にあたらないように。ドローイングの中にあるたしかな「生の記憶」。見るごとに作品自体が変化するように、僕に話しかけるような感じる。それはあくまで控えめに。「今日はどうでした?」というように。

展示の場所もいい。これがホワイトキューブだと印象がたいぶ変わっただろう。それがナシとは思わないが「十一月」に展示することによって、作品は会場の雰囲気と一緒に記憶されるものになった。

だから。僕は帰り道作品と一緒に会場の「十一月」もまとめて思い出す。映画のシーンのように、誰かとの思い出のように。そして、気持ちよく若さと成熟の同居を考える。

僕は氷で滑らないように気をつけながら、この空間でずっと居る自分を想像した。そして地面に目を下ろすと氷の半透明に中にある何かと重なった。

やはり、美術展は帰り道も楽しい。

Hirofumi Abe exhibition
The Writing of Papers /「紙が書く」
期間:2022.1.27-1.30
会場:古道具「十一月」(南2西8)

https://abehirofumi.com/

Hirofumi Abe exhibition
The Writing of Papers  /「紙が書く」
期間:2022.1.27-1.30
会場:古道具「十一月」(南2西8)

https://abehirofumi.com/

 ishikawa

Text by  メディア・プランナー  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX) Facebook / Twitter  


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