NEWS: Sapporo Art & Culture
CAIアートスクール18期生 卒業制作展
会期 2014.03.20(水)〜4.5(土)・日曜祝日休館
会場:CAI02(大通西5丁目昭和ビルB2)
主催:CAI現代芸術研究所
「難しい」アートは存在するのか?
現代美術スクールの卒業制作展
「現代美術」(コンテンポラリーアート)というと、「難しい」イメージがあると思う。いや、実は簡単です、とは僕はまったく思わない。考えてみるとそもそも美術を「難しい」という基準で考えるのもおかしい話だと思う。なぜなら、難しい美術が存在するなら、易しい美術もあるということになる。でも、僕は易しい美術というのはないかと思う。アート(美術)の表現というのは子供の書いたものでも、人間の内面から出たものであるから、易しいとは定義できないと思うのだ。人間を単純に考えることはできるけど、実は単純ではない。
アート(美術)には難しさと易しさが複雑に同居していて、どちらかとはいえない。そこがアートの深さだと思う。これが広告デザインだと「商品を魅力的にみせる」という明確な目標があるからわかりやすい。デザインはわかりやすいという意味の「易しさ」が重要であるし目標となる。でも、美術には客観的(一般的)な重要性や目標は存在しない。それを決められるのは「アーティスト」と、その作品を鑑賞した「個人」だけである。まるでカフェで向き合う2人の関係性の世界なのだ。
CAIアートスクールは、札幌市内にある全国的にも珍しい現代美術を専門としたスクール。過去に僕が発行しているフリーペーパーのMAGNETで特集をしたことがあって縁がある。本スクールの講義は基本19〜21時の夜間開講。社会人にも受講しやすい。過去の生徒は学生から、社会人、年配の方など幅広い。現代美術の学校というと、これもまた「難しい」印象を受けるが、そんなことはない。では「易しい」か、というとそうでもない。
本スクールに入学する条件はひとつだけ。それは「表現に興味」があるかどうか。入学時に美術の知識がある、絵が書ける、やりたいことの明確なビジョンがある必要はない。でも、もやもやした不明確なものでいいから「表現に興味」があることが大事だ。アートは単なる技術ではない。自分の生き方にも関係してくる世界である。アートを学ぶことは自分について学ぶことにもなると思う。
本スクールの18期生 卒業制作展が開催中だ。僕は作品を「難しい」「易しい」という二択で観るのではなくて、アーティスト自身という「ひとりに人間に向かい合う」と考えて鑑賞するのがいいと思う。それは見知らぬ人と人との対面だと思ってほしい。そう考えると、作品を観るのもエネルギーを使うことになるけど、それは心地良い疲労になると思う。アートの見方は自分で決めるのが一番楽しいと思う。
なお、CAIアートスクール19期生も募集中である。
http://cai-net.jp/school/index.html
▲BLACK BOX / Eri Hachiro
個人的に気になった作品。内向性と外向性。時間と無時間というのを考える。そして全体の印象は安心感。観ていて落ちついた気分になった。
Text & Photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)