Sapporo Art & Culture NEWS 04′No.27 Report
「大学生のフリーペーパーづくり」
日程:2014年7月16日(木)
会場:札幌東海大学 国際文化学部デザイン文化学科 伊藤明彦ゼミナール
講義をしたことと、それを通じて考えみた「大学生のメディアづくり」についてに書こうと思う。札幌東海大学教授である伊藤明彦先生から依頼があり、ゼミにてメディア・プランナーとして講義をさせてもらった。本ゼミでは今、学生ひとりひとりがフリーペーパーを企画・制作するというテーマの演習をしていた。その参考のためにフリーペーパー等の編集・発行をしている僕が講義をすることになった。僕は「ジブン(自分)・メディアにあるもの」というスライドをつくって、メディア制作についての話をしたり、学生がつくったフリーペーパーをみせてもらいながら、質疑応答などをおこなった。
「大学生がフリーペーパーをつくる」ということを、良いことだと思う。僕も大学時代、音楽系のフリーペーパーを友人と制作していた。刷り上がったものを札幌市内のレコード店等に置いてもらったり、カフェで打ち合わせをしたのは良い思い出。今にもつながる経験だった。また、自分が社会人になってからは、学生のつくるフリーペーパーを紹介してもらったり、相談を受けたりしたこともある。そういった話もプランだけだったり、発行してもわりと短期間で終わってしまうのも多く、残念だと思う。メディアづくりは続ければ続けるほとおもしろくなるのに。
大学の4年間は人生にとって重要か、そうでないかは人それぞれかと思う。でも、僕がいえるのは専攻を学びながら、それと別になにかちいさな自主プロジェクトに挑戦してみるのはいいと思う。そのひとつとして「フリーペーパーづくり」良いアイディアだと思うのだ。なぜかといえば、フリーペーパーづくりは、予算やコネがなくても、パソコンとプリンターさえあれば、制作のプロセスのすべてを自分(達)でおこない、外部に発信することをができる。
メディアづくりはウェブサイト等でインターネットでも可能だけど、フリーペーパーの最終的に、人に手渡したり、お店等に置いてもらうのに頼みにいくという作業がある。そのアナログなコミニュケーションがあるのは、とても良い経験になると思うのだ。フリーペーパーを通して、普段話のできない人と人とのつながりももできる。社会にでれば、人と人の交流とつながりで仕事をしていくのだから。
フリーペーパーづくりが挫折しやすいのは、ちょっとした「壁」があると思う。新しい世界にいく「壁」なのだ。さらに、その壁は超えたとことすぐにはなにもない。そこから遠くに新しい世界がひろがっている。その精神的距離を縮めるのが、フリーペーパーづくりでもっとも大事なことだと思うのだ。それは、技術やノウハウより大事なことだと僕は思う。フリーペーパーづくりに、いきなりプロ仕様の高価なソフトウェアは不要だと思う。パソコンにインストールされていたものや、フリーで使えるものから、はじめてもいい。
フリーペーパーの「フリー」とは無料のことだけど、僕はもうひとつ「自由」の意味もあると思っている。「他人に読んでもらう」というとこだけ意識すれば、フリーペーパーのつくり方は本当に自由でいいのだ。好きなことを発信してみよう(または好きなことをみつけてみよう)。大学生のみなさん。大学の4年間という、長いようで短いこの期間に、フリーペーパーを作ってみてはどうだろうか?
それによって見えるものがあると思う。
Text & by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)