伊賀信展【DOT・STRIPE・CROSS】
期間:2014.9.03 —-11. 28
会場:クロスホテル札幌 (北2西2)・入場無料
アートに関する僕が繰り返す(と思う)前書き。
アートに関する原稿を書くたびに思うことがある。「アートがわかる」「アートがわからない」とは、どういうことなのか?それは感性の問題なのか、知識の問題なのか。分析をすると長くなるし、今回の原稿の本質でもないので、やめておこうと思う。とりあえず僕はアートがわかったフリを真面目にしていこう。確実だと思うのはアートの見方はひとつではないこと。みなさんがジブンの「見方」をみつけてくれればいいかと思う。このリードテキストはこれからもアップデートしながら繰り返すことになるだろう。
さて、今回のおすすめの「見方」はアートを「インテリア」として見るということである。具体的には、ギャラリーで等作品を見た時に「この作品を自宅に飾ったらどうだろう」という視点で想像すること。「自宅のどこの空間がいいだろう」という想像を深めていく。また、今の自宅では思い浮かばないなら未来の自宅のイメージでもいい。「この作品にはこんな部屋が合うだろう」さらに、友人の部屋でも、駅や公園等のパブリックな場所でもいい。自分がインテリア・コーディネーターになったような気持ちで想像してみる。この「どんどん想像する」という行為が、僕はアート鑑賞にとても大事だと思うのだ。アート作品について、どう考えるかは自由。どこまでも自由でないといけない。そして、アート作品になんらかの想像をして、鑑賞するのは見る側のゆるやかな義務だとも思う。
伊賀信 G.A.A.L
伊賀信は札幌を拠点とする美術家。 アートユニット「G.A.A.L」(幾何学的抽象芸術実験室)を主宰。1987年 ギャラリーユリイカ(札幌)にて初個展。以降個展を中心に作品を発表している。2012年には、東京で開催されたアートフェア「ULTRA 005」にて伊賀信の作品をセレクトしたGALLERY創が「ベストウォール賞」を受賞している。
さて、今回の個展では市内中心部のファッショナブルなホテルの1Fエントランスと、ロビーに作品を展示。僕は伊賀信の作品を見て、先に書いた「インテリアとしてアート作品を見る」を心の中から選んで想像をめぐらした。リビングが自室か迷うとこだけど、やはりリビングがいいかな。僕は自宅に飾る作品は「人物」とか「実在の風景」等は苦手。理由として、僕にとってこの2テーマって、自己の(シリアスな)現実をひどく思い出させてしまうのだ。だから、この原稿の写真のような、線で構成された幾何学的なパターンというのは、自分の中で、自己の(シリアス)な現実から、自身を遠くに遠くに引き離してくれる。それが僕にとってとてもリラックスできる。もちろん、本作のコンセプトはそういったコトではないとは思うけど、作家のコンセプトを理解できてなくても、「心から好き」といえる感覚なら、それもアリだと思うのだ。本展示には僕なりの解釈で「心あら好き」という作品があった(ただ、今の自宅には本作品を理想的に配置できる壁面スペースがないのが残念無念)。
Text by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)