小学校が「作品数333点」の美術館になった1日。
NUMERO DEUX NEWS No.40
「北陽ミ術館」
会 期 : 2014年12月6日(土)
会 場:札幌市立北陽小学校(北31西9)
主 催:おとどけアート実行委員会
アートについてのちいさな手がかり。
それがあること。
ちよっとでいい。少しでいいのだ。いや、少しがいいのだ。小〜中学校くらいの時期にコンテポラリーアートに関することを体験学習できるのはいいことだと思う。そのちいさなフックが、将来アートを発信したくなった時に手がかりになる。
「おとどけアート」とはアーティストが市内の小学校に通いながら、子供達と創作活動をおこない、同時に地域の方々と交流することを目的としたアートプロジェクト。2008年よりおこなわれている。本年度の企画でおこなわれた展示について紹介したいと思う。
加賀城匡貴は札幌を拠点にしているパフォーマー。笑い、アート、教育をインスピレーションソースにした作品を発表。主催の活動としてステージパフォーマンス「スケルツォ」がある。加賀城匡貴は本年度の「おとどけアート」のアーティストに選ばれた。彼は、子供たちと「ミタテ」(見立て)をテーマに、身近にあるものモノについて「なにか別のものとして捉えて、ストーリーも考える」というワークショップを進めてきた。
そして、12月の土曜日。小学校を会場に1日だけ一般公開する展示会がおこなれた。その内容は、子供達が学校内でみつけた「ミタテ」作品333点を展示。来場者は受付にて展示場所のペーパーをもらい、作品の「現物」を観ながら小学校の1〜4階から体育館まで、たっぷりと作品が楽しめる。上記写真はその作品のひとつ。イメージができただろうか?展示の様子等はhttp://inschool.exblog.jp/i55/を参考にして欲しい。
僕が感心したのは作品のコンセプトだけではない。もうひとつ、いいなと思ったのは本展示のために子供たちが「かんがえ部」「ひろげ部」「つくる部」「ガイド部」という4つのグループに別れていること。これは、制作・広報・当日ガイドという展示企画を成立させるための、すべての要素を子供たちに役割分担させていることである。単に作品制作だけをやらせるだけではなく、裏方業務についても体験させることはとてもいいことだと思う。なぜなら、制作だけに限っては多くの子供たちがアーティストになる訳ではない。しかし、広報等の裏方業務は将来どんな仕事に着いた時、必ず役立つ体験になると思う。
本展示を地下鉄に乗って観に行ってみた。北34条駅で降りて10分程度歩く。北陽小学校に着く。本展示のために特別に一般公開される1日。入り口すぐにならぶ子供達の下駄箱を観てノスタルジックな気分になる。受付で展示場所のペーパーをもらう。そして、ガイド部の子供達に手近な作品1点の説明を受けた。それから、ゆっくりと校内の作品を観ていく。みつけながら歩いていく。見応えはたっぷりだ。
1Fには「ミ・カフェ」も設置され、そこで飲み物をいただきながら一休みすることもできた。こういった気遣いのある空間もいい。本企画は一般公開され子供やその保護者以外の人も観に行けるのもとって良かった。身近にある学校等でアート展示が見られることは、地域の対する感心が愛着も深まると思う。
Text&photo by Shinichi Ishikawa(NUMERO DEUX)