SAPPORO GUIDE+ No.003
札幌を<初めて楽しく>アートに歩くガイド。
No.003 「三岸好太郎美術館」
さて、札幌のまちをはじめて旅行等で訪れて、文化的に楽しく歩くガイドの3回目ですね。前回は大通公園という札幌という街の構造を理解するためにも大事な場所を紹介しました。今回は、個別なアートスポットを紹介しましょう。その場所は北海道立三岸好太郎美術館。札幌にはモエレ沼公園や札幌芸術の森といった全国的に見ても大規模なアート施設があります。これらのスポットも、いづれ僕の視点で紹介したいと思ってますが、今回は市内の中心部からアクセスしやすく、規模的にみやすい場所として、この三岸好太郎美術館をおすすめします。個人的にも好きな場所なのはもちろんです!
本美術館へのアクセスは「札幌市中央区北2条西15丁目」という、前回紹介した大通公園や、時計台、テレビ塔、道庁、札幌市役所等からアクセスのしやすい場所にあります。大通公園の西端が西13丁目ですから、そこから西方面に2丁程度歩けば行くことができます。また、地下鉄も札幌の中心部にある大通駅から、2つほどいった西18丁目駅下車で着きます。気候が良くて、時間があれば歩いていくのもいいかと思います。
場所の特徴としては、本美術館は北海道知事公館の敷地内にあり、ここに行けば同時に公館を楽しむこともできるかと思います。公館内の敷地は公園のように開放されており、街の中にある緑の空間。ゆったりとできますし、安田侃の彫刻もあります。公館内の見学も可能です(入場無料)。また、すぐ西隣には北海道近代美術館があるので、一緒に行ってみるのものもいいかもしれません。周辺のおすすめスポットを5つセレクトすると、D&DEPARTMENT HOKKAIDO by 3KG(雑貨家具・レストラン)、カエルヤ珈琲店(カフェ)、カフェクレタ(カフェ)、アソネ(雑貨)、プランドゥ(アンティーク雑貨)といったところでしょうか。
建物の特徴としては、市内の公的な美術館の中ではコンパクトなほうだと思います。ゆっくり楽しんで欲しいですけど、時間がなければ30分もあれば展示をすべて見ることはできます。喫茶コーナーもあるので、そこで一休みもできます。本美術館は、展示会場を使用したコンサートや、子供むけワークショップ等を積極的に開催しているのでウェブサイトでそれらを確認して、それに合わせていってもいいかもしれません。ただ、展示をじっくり楽しみたいなら、イベント日をはずしたほうが落ち着いて楽しめますね。
三岸 好太郎は、札幌出身の大正から昭和初期に活躍した洋画家。31歳という若さで急死しました。本美術館は、遺族より作品220点が寄贈されたことがキッカケで開館。その作風は、西洋ふうのモダニズムで、短い生涯ながら作風の変化も多く興味深い。素朴な画風から、シュールだったり、おとぎ話の世界のような印象も受けます。ただ、そこから僕が感じるのは優しさや可愛らしというよりも、研ぎすまされた実験的でシャープな感覚で、そこが僕が惹かれる一番の理由かと思います。今からみてもアヴァンギャルドな作風もある。亡くなる年に一番関心を持っていたのが「建築」だそうで、バウハウスふうのモダンな自宅兼アトリエを東京に建てており、そのデザイン要素が、本美術館の設計にも取り入れられているとのことです。
この美術館は市内の良い場所にありながら、特にイベント等がなければ、ひっそりとした静かな空間になっています。そこが僕が好きです。ふと、思いついた時に都市の喧噪から抜けて、三岸好太郎の世界の迷い込むのも、良い刺激になりますね。あと、先に書いた場所の特徴のとおり、まわりに、いろいろカフェ等もあるエリアなのも、おすすめできるポイントです。
Text by メディア・プランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
北海道立三岸好太郎美術館
札幌市中央区北2条西15丁目(知事公館庭内の北側)