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NEWS No.16011 「第4回札幌500m美術館賞グランプリ展」

2016.02.13

500m美術館vol.17 The 4th Sapporo 500m Gallery Award ! Exhibition.

NUMERO DEUX NEWS 16011
札幌のアートなニュース。

札幌にはどんなアートが「似合う」のだろう。
「似合う」「似合わない」を考える。

「似合う」「似合わない」とか考えてみると、それはとても主観的なことだと思う。だだ、主観からはじまったことでも、客観性を持ちえることもあると僕は思う。だから、「似合う」というのを考えるのは意味があるし、それが客観性を持ちえるから、こういった考え方が成り立つと思う。さて、札幌ではどんなアートが似合うか、という問題はどうだろう。

僕が似合うと思う札幌のアートの雰囲気とは「シンプル」と「抵抗感なし」ということだと思う。もう少し説明すると、前者は、すごく多面的で歴史を背負ったものよりも、今(その時)をポンの切り取ったようなシンプル、後者については、伝統的な抵抗力を感じさせない、自由でどこまでひろがりを感じさせる意味の「抵抗感なし」ということである。以上は、まったくの個人的な見解だけど、わりとブレなく感じてきたことだと思う。僕もなにかを作るとき、ディレクションするとき、考えるのはシンプルであることと、過去にとらわれない自由さである。

500m美術館にて、第4回を迎える「札幌500m美術館賞」のグランプリ作品に展示がおこなわれた。まさに札幌の中心に位置する本美術館に展示される、という点について「札幌に似合い」ということが選考のひとつの大きな基準になったのだろうな、と僕は思う。グランプリ受賞の2人のプロフィールを以下である。

高田洋三/Takada Yozo 現実の風景をドキュメントとして撮影しながら、絵画的であり、どこか非現実的な光景を作り出す。写真がつくる虚構の世界から、人間がつくりだす世界と、そこにある私たちの日常のリアリティについて観察しているような、アイロニーとユーモアを交えた視点をもっている。主な展覧会として、札幌国際芸術祭2014、Proto Landscape(2013 CAI02, 札幌)など。(札幌大通地下ギャラリー 500m美術館サイトより)

山崎 阿弥/Ami Yamasaki 声のアーティスト、映像・造形作家 声で空間の陰影を感得し造形作品やパフォーマンスによってその濃淡を引き出す/失わせることを試みる。生西康典『火影に夢を見る』、灰野敬二、坂田明、外山明、飴屋法水、鈴木昭男らとのデュオ、伊勢神宮での歌唱、中山晃子、ドローイングアンドマニュアルら映像作家との共作、沢口真生とのサラウンド制作など分野を亘る。「世界はどのように出来ているのか?」という問いを持ち、作品をその問いへの “アクション”と位置づける。(札幌大通地下ギャラリー 500m美術館サイトより)

まず、結論からいうと2人の作品で僕が一番いいなと感じたのは「札幌に似合う作品だな」ということである。そこはさすがで、2人はきっとアーティストとしての作家性をもちつつ、この場所(札幌)にふさわしいという点について、思考を重ねていった結果としての作品だと思う。そして、作品は「シンプル」であり、歴史的な「抵抗感のない」ものだと僕は個人的に感じた。あたりまえのことを書くけどシンプルとは「簡単」という意味ではない。僕にとってシンプルとは研ぎ澄まされたひとつの有力な表現手段のひとつである。 2人の作品はアプローチが違うけと、一見、素朴と感じさせる表現の中に「強さ」や「深さ」の存在を感じさせるものである。ぜひ、ゆっくりと立ち止まって作品を「札幌」ということを考えながら、鑑賞してほしい。そうするとあなたの頭の中に、いろいろなことが浮かんでくるではないだろうか。

札幌大通地下ギャラリー 500m美術館は、札幌市営地下鉄の大通駅、その構内にある隣駅のバスセンター駅前をつなぐ通路。その通路の壁面を利用した市が運営するギャラリーである。2006年から展示がはじまった。駅施設内にあるギャラリーとしては国内最長のものである。地下通路が多くかつ、冬が長いため地下通路の利用が多くなる札幌にはひとつの「地下文化」ともいえるユニークな美術施設である。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「第4回札幌500m美術館賞グランプリ展」
会期 : 2016年1月30日(土)~2016年3月25日(金)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館


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