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NEWS No.16018「おとどけアート x SIAF LAB 〜 黒田大祐 『透明な風景』展」

2016.03.11

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NUMERO DEUX NEWS 16018札幌のアートなニュース。

「まち」をつくることは、まちを考えること。
では、どこまで「まち」を考えるのか。

自分の住む「まち」について考えるのは大切なこと。それは、きっとほとんどの人が思っている。その中には専門家もいるし、ごく一般の人もいると思う。では、いったい僕たちは「まち」の「何を」考えればいいのだろうか。人口を増やすべき、インフラを整備、福祉の充実、またはアートの発信できる街にしたい…「まち」について考えるというテーマは同じでも、その具体的内容は出し切れないほど多技にわたる。それだけ「まち」というテーマには広がりと同時に深さがある。それはなぜか?結局、まちとは暮らしのことであり人間のことだからだと思う。まちの議論は終わらない。でも、ポイントで終わらせては実行に移さないといけないと思うのだ。まちづくりのちいさな実験を繰り返しいこう。それには、ヒントが必要だと思う。

黒田大祐は美術作家1982年京都府福知山市生まれ。広島在住。「チームやめよう」主宰。2013広島市立大学大学院 芸術学研究科博士後期課程 総合造形芸術専攻(彫刻領域) 修了。橋本平八「石に就て」の研究で博士号取得。「石を投げるように作品を制作しています」とのこと。今回の展示では札幌という「まち」をテーマに「おとどけアート」という小学校にアーティストを派遣するプログラムにて制作した作品と新たに制作した作品で構成されている。

まず、軽く驚くのは展示を観て「これはまち(札幌)のことなのか」と感じることだろう。展示の空間は一見して、わたしたちが思い描くありがちな「札幌」のイメージはほとんど感じられない。平面、立体、ヴィデオ作品の混在する中、独特な空間が作られている。わかりやすいのは壁面に大きく掲示された本展示のタイトル「透明な風景」。でも、ここであきらめてはいけない。会場の入り口で配布されている本展示のリーフレットを読んでいくと、この展示は実にピュアな視点で「このまちにあって、みえないもの」を表現していることがわかる。それはあまりにも大きく、深く、そして「透明」なものであるため自分にはすぐに捉えることができない。ただ、そこであきらめることなく、自分の住む「まち」にある「透明」を考えることは、僕にとって新鮮な体験であった。

アート作品における「まち」というテーマ。それを本展示のように作品は、自分の中で「まち」について解体され再構成された気がした。これは、自分の固くなっていたアタマをときほぐす体験となったと思う。「まち」について考えるのは本当に難しい。だからといって止める訳にもいかない。本展示のそういう深刻さを少し忘れさせるポップな面も僕には感じられたて、あってアート応用力の素晴らしさも感じさせる企画でした。

会場は、大通公園西端にある札幌市資料館2階にある「SIAFプロジェクトルーム」。ここは1階にある「SIAFラウンジ」ともに「SIAFラボ」が運営する施設。SIAFとは、札幌市が主催する札幌国際芸術祭(Sapporo International Art Festival、略称:SIAFサイアフ)の略称。3年に1度、札幌市で開催する国際的なアートフェスティバル。2014年に第一回が開催。次回は2017年の開催を予定。「SIAFラボ」は、札幌らしい芸術祭を実現していくために、市民ひとりひとりにとっての札幌を考え、発見、発信をしていき、札幌に主体的、自発的な札幌独自の芸術文化活動が育てるきっかけ作りを目的tろしている。そのため、具体的には誰でも参加できる、ラウンジの運営、フォーラムやイベント、展示企画等を開催している。

Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)


おとどけアート x SIAF LAB 〜 黒田大祐 「透明な風景」展
会期:2016年2月19日(金)~2016年3月21日(月・祝)/10:00~18:00
休館日:月曜日
会場:札幌市資料館(大通西13丁目)2階SIAFプロジェクトルーム
入場無料

 


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