NUMERO DEUX NEWS 16021札幌のアートなニュース。
アートというシャワーを浴びること。
「美術館」に行くのは「今も」アート鑑賞の基本だと思う。
例外で東京のNEWSを。アートは生活の中に「つなげていく」と楽しいと思う。それは本当か?僕はそうだと思っている。だから、アートを見る・体験する。そしてメディアをつくり、こうして書いていく。自分とアートと「つなげていく」とはなにか。それはアートを体験して、感じたことを心に残すこと。そして自分の生活に役立てていくことだと思う。それにね、アートで感じたことを生活に役立てることは、軽い義務だとも思っている。
もう一度言おう、僕はアートは生活に役に立つと思っている。そうでなきゃ、アートは見ない。その「効用」は具体的に2つ。ひとつは気分転換。それは人生に必ず必要なこと。もうひとつは、発想や考え方、生き方にヒントをくれること。それは自分の日々生活の中で心や頭は「狭く」なっていくような気がする。アートはそこを「広く」してくれる。できれば、何事も「広い」ほうがいい。広さの中にアイディアが生まれる。広くありたいよね。
さて。ではアートにどこに出会うか?僕はアートを体験するのは美術館に行くのが一番いいと思う。もちろん、アート作品は身の回りにもある。今の美術の最前線を考えると「美術館でアートを観る」というのは古い考えかもしれない。今はアートの無い場所(美術館ではない場所)でアートをつくり、体験するのが、大切なキーワードにはなっている。その発想は僕にもわかる。ただ、非美術館空間でのアート体験は、一般的にはまだまだ難しいと思う。その理由はふたつあって、ひとつは、そうした空間がは特別なイベントでしか用意されていないこと。ふたつめは、良くも悪くもとっつきにくいと思う。つまり、体験しづらい、わかりづらいのだ。
その点、美術館には年単位のスケジュールが組まれ、常にアートがある場所である。そして、その展示室の中にあるのがアートという明確さ。アートを観に来た人だけが集まる静かな空間。そのわかりやすさは僕は好きだ。アート表現はさまざまなのはわかる。でも「美術館」という場所はいつまでもあって欲しい。
森美術館は六本木ヒルズ内にある。53階の展望台(東京シティビュー)と同じフロアにあり、美術館入場料で展望台も観ることもできる。眠らない都市の中にある22時まで開館している美術館。夜の時間を楽しめる美術館。その点がとてもいい。もちろん、僕は郊外にある美術館も好きだ。ただ、もっと都市の中で夜遅くまで開館している美術館があってもいいと思うのだ。
「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」はシリーズの展示企画。本美術館で3年ごとに日本のアートシーンを紹介するもの。5回目の本展では日本、韓国、台湾の4人のキュレーターによって選ばれた、20組の現代アート作家の展示がおこなわれている。
どのアーティストも魅力的だ。そして当然、現代的。表現方法もミクストメディア(複数の異なる素材を使う表現方法)が目立つ。今後も増えていくだろう。それは良いことだと思う。同時に、昔ながらの「平面」「彫刻」という技法にこだわる作品もあってもいいと思う。表現の違いは作品の優劣とは関係ない。だから、アートを発信するのは美術館でもいいし、そうでなくてもいい。
現代美術を観ることは、時に刺激の強すぎることがある。それは「現代」だからだと思う。それは現代に生きている自分に確実につなげて考えることができる。その点に軽いショックを受けることもある。そう、アートの体験は必ずしも楽しいことばかりではない。だからこそ、生活に役立つのだ!それは、生活における経験と同じ。本企画は日本の都市においてもっとも現代的な場所で開催されている。それを森美術館という場の力によって、受け手にわかりやすく提示されていると思うのだ。やはり、美術館という場所は素晴らしい。
Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「六本木クロッシング2016展:僕の身体(からだ)、あなたの声」
会 期: 2016年3月26日(土)-7月10日(日)10:00-22:00(火曜は17:00まで)
※ただし5/3(火・祝)は22:00まで※いずれも入館は閉館の30分前まで
会 場: 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)