NUMERO DEUX NEWS 16027札幌のアートなニュース。
集める人=コレクターは未来をつくる。
近年、断捨離、ミニマリストという生き方の提案をよく聞く。その内容は簡単にいえば、モノの少ないシンプルな生活をする、ということである。その考えの中では、モノを集める趣味=コレクターぬついて、どう考えていくのだろうか?
僕は「コレクター」と呼ばれる人は、どんなジャンルであっても、とても大切な存在だと思っている。コレクターを、買うことによって、その文化を支えることになる。音楽だって、本だって、アートだって、作品があって、それを買うというサイクルがなければ発展していかない。非売品を集めるコレクターも素晴らしい、それをその存在をあとの時代に伝えることになる。コレクター=「集める」人がいなくなければ芸術や文化はまちがいなく停滞していくと僕は思う。
本展示は、札幌の8名の現代アートコレクターが、会場8基のガラスケースにそれぞれコレクションを紹介する展示となっている。個人のコレクションの展示、という企画自体は珍しいものではないが、今回はなかなか見ることのできない、札幌の自営業、弁護士、自治体職員、大学講師、ライター、会社員、美術家、建築家というコレクターの現代アートの個人のコレクションの展示となっている。
最初の問いに戻ろう。僕は、シンプルに生きることと、コレクターであることは共存できると思う。日常生活をシンプルにしながら、なにかのコレクターである、というライフスタイルもありだと思うし、かっこいいと思う。それは僕のひとつの目標にしたい。
札幌大通地下ギャラリー 500m美術館は、札幌市営地下鉄の大通駅、その構内にある隣駅のバスセンター駅前をつなぐ通路。その通路の壁面を利用した市が運営するギャラリーである。2006年から展示がはじまった。駅施設内にあるギャラリーとしては国内最長のものである。地下通路が多くかつ、冬が長いため地下通路の利用が多くなる札幌にはひとつの「地下文化」ともいえるユニークな美術施設である。
Text by 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「500m美術館vol.18 My Collection」
会期 : 2016年4月2日(土)~2016年6月29日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
出品コレクター:大井恵子(自営業)川上大雅(弁護士)棚田健生(自治体職員)寺田英司(大学講師)ドゥヴィーニュ仁央(ライター)藤原裕倫(会社員)門馬よ宇子(故人/美術家)山本謙一(建築家)