わからない楽しさ。
アートにはそれがある。
感覚の話。生きていると「わからない」ことがつらいことがある。
世の中には「わかること」と「わからないこと」があるのだ。まずは、このふたつがあることを認めて、指先に置いたシーソーのように、バランスをとることが大切だと思う。そのシーソーにのっているのは実は自分なのだ。そこから落ちた先は底知れぬ闇なのだ。あくまで、それが行動や感情を意味する時。生きることはシリアスなこと。
でも、「わからないこと」に気軽に付き合う方法もある。僕はそれは「アート」だと思っている。そして、世の中に完璧にわからないこと、というのは僕は少ないとと考える。その点は「わからない」という全否定ではなく「曖昧」と言い換えられると思う。アートの「曖昧」は、魅力だしどこまでも安全だ。曖昧の感覚を楽しむの楽しいことだ。
ワビサビは1999年札幌で結成。工藤“ワビ”良平と中西“サビ”一志によるユニット。グラフィックデザイン、オブジェ、映像、インテリア等、多方面の作品を発表。国内外で受賞歴がある。ひとことでは説明しきれない、オリジナルの作品をコンスタントに作り続けている。
本展示では、さまざまな「顔」を原型がわからないほどデジタル技術で加工。それをキャンパスに印刷という特殊な技法で、アナログっぽい質感が魅力になっている。顔という、もっとも「個性」があらわれるものが変形して、匿名的な表現になっているのがユニーク。「曖昧」な魅力がたっぷり楽しめる。安全なミステリアスを見てみよう。しかも壁に飾れる。
そして、世の中が少し生きやすくなる。
Text by メディアリサーチャー石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
ワビサビ展 「HERE MAN」
会期:2017年12月1日(金)〜28日(木)
時間:11:00~19:00
休廊:月・火曜日
会場:クラークギャラリー+SHIFT
住所:札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階
TEL:011-596-7752
http://www.clarkgallery.co.jp