DVDで映画「25時間」を観る。麻薬の売人が初めて逮捕され、刑務所に入るまでの最後の猶予時間を友人たちと一夜を過ごすストーリー。麻薬の売人の主人公はエドワード・ノートン。この役者の雰囲気や、家のインテリアは上品すぎる感じもする。でも、それは監督の狙いなのかもしれない。主人公は麻薬の売人という点を除けば、良き妻もいて、その生活スタイルは幸せそうに見える。すさんだ感じはない。
懲役は7年。死刑、無期が当たり前のフィクションの世界では、軽めの罰にさえ思える。しかしリアルに考えればそれはつらい。すべてを失って刑務所に行くのだから。主人公は苦悩し、友人達は主人公をなぐさめつつ、友人関係が終わることも意識している。この映画を観て考えたのは、ふと自分の友人が刑務所に行くことになったら、どう接するかということ。
刑務所が出てくる映画は無数にあるが、これほど「刑務所に行くこと」について考えさせる映画は初めて。ラストあたりに「刑務所のある人生」と「ない人生」というのが空想的に描かれる。最後の一晩の舞台になるクラブの描写もなかなか魅力的で、ただの教育映画になっていないのもいい。また、主人公の堅気の友人の生き方の描写も少ないながら、ゆがみのようなものも描かれていて、ドラマ全体に深みを与えている。