INTERVIEW

054 私設図書館[think garden]

2007.07.28



市電沿いの13丁目。情報発信の場として賑わうSOSO CAFE内に、「庭」が引っ越してきた。この庭は「思考の庭」という。足を踏み入れると、芸術書や山の本が一緒に並び、まるで私たちを待っていてくれるよう。堅苦しく考えないで、薦められた一冊を手にとってみるといい。きっとどこかへ連れていってくれる。自分はその庭の管理者だという、「think garden」代表の津田さんにお話をうかがった。Text by mato.

NUMERO DEUX SPECIAL 054 The janitor of the yard.
Interview with Tomoe Tsuda
取材日時:2004.9.16(Thu) 19:00-20:00
取材協力:miel
Interview & Photograph by Aiko Yamamoto & Yoko Yoshioka (mato.)

■ インタビュー 津田知枝(think garden)

—-プロフィールを教えて下さい

1974年生まれ、出身は東京です。武蔵野美術大学建築学科を卒業後、数年たってからレントゲンというギャラリーで働き、その後P3という組織で働いていました。P3では2002年に帯広で開催された現代美術展「デメーテル」のスタッフとして参加しましたが、今年の春に札幌に引越してきました。

—-『シンクガーデン』をはじめた理由を教えて下さい

「デメーテル」では200〜300人もの学生ボランティアとかかわっていましたが、催しが終わると、せっかく美術に興味を持っても、それを持続させるための環境に乏しいという問題がありました。今後の彼らとどうやって付き合っていけばいいかを考えた結果、本を通じて美術・芸術を教えていけるのではないかと思い、図書館をオープンすることにしました。「デメーテル」が終わってすぐに北海道で何かできないかな?と着想し始めたので、心の中の準備期間は1年ほどあったんです。2年くらいかけて準備していた美術展だったので、何度も北海道に来ているうちに縁も所縁もでき、全く知らない土地というわけでもなかったですし。もちろん、身近な友人との関係をどうしていこうか?という葛藤がありましたが、何かに引っ張られてこっちに来ちゃったものはしょうがない!と割り切りましたね。

—-コンセプトを教えて下さい

コンセプトは『庭』です。場所が閉じていないということが大切。ちゃんと呼吸していて光を浴びている、その場所にいながらにして色々な場所に旅ができる・・・。私はそういった場所=「庭」の管理者だと思っています。

—-『シンクガーデン』の機能について教えて下さい

芸術書、特に現代美術と建築に関する書籍を中心としたコレクションをしていますので、その専門性から、芸術分野に精通しているスタッフ=本のソムリエが積極的に書籍の紹介をし、必要に応じて利用者のあらゆる作業を助けていきます。
 「図書機能」…本の閲覧と貸し出しを行います。閲覧については誰でも利用でき、貸し出しを希望する方には会員となっていただきます。(年会費:3,000円)
 「パートナーシップ制度」…シンクガーデンを共有していくという機能です。(年会費:法人10,000円・個人7,000円)
場所がある・本がある・私がいる・情報があるというのを全て共有しましょう、という考えです。学校や会社等の単位でパートナーとし、そのパートナーには場所や情報の提供を行います。例えばシンクガーデンの場所を大学の研究室でオフキャンパスとし、ワークショップやレクチャーを行うことも可能です。蔵書の貸し出しも同時に行います。情報の共有という点では、いつ誰が来るという情報をパートナー内に提供していく等、パートナーになってくれた方には何らかの形で協力していきたいと思っています。

—-『シンクガーデン』に訪れる客層に何か特徴はありましたか?

SOSO CAFEへの移転前は、学生が多かったです。住宅街にあったので、ふらりと立ち寄ってくれる主婦の方も多かったですね。今後は以前とは違った客層になっていくのではないかと思います。

—-『Round Table』について教えて下さい ※

「デメーテル」や東京でイベントを企画する仕事をしていたので、「イベントっていうのは、何のためにやっているのか?」と、イベント自体の意義を最近考えています。多額なお金が投じられてはいるけれど、実際その出来事がその場所に還元されていない、イベントと都市がつながっていないように感じます。もっと違う形でのイベントの落とし込み方があるのではないかと。
 そういったイベントを一番鋭く、一般の人よりも突っ込んで見て、批評しているのはメディアの人達だと思うんです。といっても、いきなりハードに新聞記者に話を聞くのではなく、1回目は入りやすいところからという事で、フリーペーパーの編集長に話を聞こうという公開会議です。来年の4月までに何回か開催する予定ですので、今後様々なメディアの方々と話したいと思っています。

—-津田さんのプライベートな趣味や楽しみを教えていただけますか?

趣味はたくさんあります。音楽・映画鑑賞・旅行・スポーツ等、色々あります。ここ数年は毎朝走ることが日課になっています。札幌に引っ越してきてからも豊平川の横を走っていますよ。他にも色々なスポーツをやっていますが、クライミングも好きですね。時間があったら世界中の山に登ってみたいと思っています。走ること・登ること…とにかく動いているのが好きです。少しでも動いていたい。じっとしているのが嫌なんです。

—-津田さんにとって、『シンクガーデン』とはどんな存在ですか?

『シンクガーデン』は私を抽象化したものですね。やりたいこともどんどん増えていくと思いますし、常に成長し続けたいので、今後も一人でやっていくかどうかは難しいと思いますが。

—-今後どのようなことをしていきたいですか?

日本中・世界中のあちこちにコンビニのように『シンクガーデン』のような場所が広がっていって欲しい。『シンクガーデン』=『考える場所』が色々な場所にあってもいいんじゃないかな。それと、コンスタントに教育研究的なプログラムを入れていきたいと考えています。いいことを伝えられる人って、世の中にはたくさんいますから、寺子屋のような場所を作り、そこで様々なことを教えて行くのもいいですね。

after Hours
毎朝走っていたり、クライミングをやっていたり、津田さんの趣味の話はどんどん広がっていく。私の「芸術書を取り扱う図書館」のイメージはどんどん「庭」へと近づく。それは光を浴びた庭。眼や頭だけではなくて、五感をちゃんと働かせている人と話すと気持ちがいい、そんなことを考えていた。


「think garden」
住所_札幌市中央区南1条西13丁目三誠ビル1F
注:2007年8月15日現在下記に移転
札幌市中央区南2条西7丁目 エムズスペース右2F TEL/FAX 011-241-3165

※THINK GARDEN +「札幌フリーペーパー編集長会議」
日時:2004年10月8日(金)19:00〜
参加媒体:加賀屋 稔幸(complex編集長)、濱元 雅浩(ES編集長)、石川 伸一(MAGNET編集長)
司会進行:津田 知枝(think garden代表)、大口 岳人(SHIFT代表)
会場:SOSOCAFE
住所:札幌市中央区南1条西13丁目三誠ビル1F
入場:800円(1ドリンク付)
主催:シンクガーデン・プラス実行委員会
お問い合わせ:tomoe@thinkgargen.org

 


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