REVIEW

「住む」ではなく「来る」。

2007.11.10

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                                    「めがね」(2007・日本)

昼ご飯を食べて、時間があったので観てみた。本当は「仮面ライダーNEXT」と迷ったのだけど、こっちのほうが上映時間が早かったから。

ほっこり系オシャレ映画、ロードムービー風味。主役の小林聡美はもっとベラベラしゃべるのかなと思ったら他のキャストと同様に言葉は少なめ。ひとつひとつのシーンがミニマムで静的に撮られており、自然光による撮影が、島の海辺の自然と重なって本当に美しい。室内のシーンのセットもある意味うんざりするほどセンスが良く、といって成金趣味でもない手が届く趣味の良さ。サウンド・トラックも過不足なく心地よい。ところどころユーモアもあり、クスッとさせる。特に薬師丸ひろ子が演じた、もうひとつの宿のエピソードは一番笑った。ある意味、自然系のもうひとつのベクトルだよね。まぁ、僕もたそがれ派になりたいです。

一番の関心は、市川実日子の使い方。ええと、良かったです。島の学校の先生という、地味な設定の役まわりで、主役に対しては少々ジェラシーを感じている。終始ぎこちないやりとりが良かった。内容というよりもシーンのひとつひとつを丁寧に楽しむ映画だと思う。

ただ、やぼなことをいうなら登場人物達は、ビジターな主人公を含めて、現地の人々も非常に都会的な人物であって、現実ではこうはいかないと思う。一種のファンタジーである。だから、主人公はここに「また来る」。「住む」のではなく、あくまで「来る」なのだ。そのあたりはリアルだといえる。都会に住み、時々田舎に過ごす。勝手な言い分だとは思うが、僕はそういうライフ・スタイルにあこがれる。ただ、その思想が正しいかどうかはわからない。


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