DVD REVIEW
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」(1989年・日本)
最近よくガンダムのシリーズを観てる。ちなみに僕はファースト世代。本作は、良いところと悪いところを書きたくなる。良いところといえば、オリジナルのガンダムの世界観の中で中立コロニーに住む平凡な子供アルが主人公という、新しい視点のドラマということ。
これはうまい。話も負け戦を意識しつつあるジオン軍の地味で少人数の特殊工作というのもセンスが良い。まわりは戦争中だけど平和な感じの中立コロニーという政治的に独特のボジションである舞台の様子もよく描かれている。モビルスーツの戦闘シーンは少なめであるが、印象は悪くない。ただ、そこを期待する人には物足りないかも。
悪いことといえば、僕はそれほどおもしろくは感じなかった。主人公のごく近い人間関係の中で構成されるのはまさに「ポケットの中の戦争」なんだけど、主人公は目の前でこれほど現実の他人の「死」を体験してまって、これからの人生どうなるんだろう。ラストを観て僕はそればかり気になった。
主人公は特殊工作隊の一番の若手、バーニーにしてアルは脇役にしたほうが、おもしろくなったような気がする。バーニーを中心にすれば、仲間の工作員との関係をもっと描けるし、最後の心情の移り変わりや、本作のヒロイン、クリスに対する恋心などもうまく表現できたような。そのうえでアルとの交流があったほうがいいのではと、勝手に考える。
ただ、それだと「ポケットの中の戦争」というタイトルではふさわしくないし、企画のインパクト、新しさという点では、主人公の年代は今までのシリーズと同じような設定にしまってパンチに欠ける。難しいものである。