DVD REVIEW
「16ブロック」(2006年・アメリカ映画)
ブルース・ウィルス主演、というとそれだけで観てしまう。それがスターの魅力かな。本作ははじまりから不穏な空気に包まれる。
話自体はシンプルなのだけど、その流れのところどころで「実はシンプルではないぞ」という監督の軽い脅しが散リばめられている。一見、良い感じの流れは実はとても恐ろしい真相を暗示しているのでは、と勘ぐるようになる。
ブルース・ウィルスの演じる主人公は、ダイ・ハードの役どころのようなスーパー警察官ではなく、半分、人生に絶望している窓際のアル中刑事。すぐにもでも死にそうでコワい。また相手役の護送する証人も、明るいキャラクターであるが犯罪者でもあり、陽気に話す自分の将来のおしゃべりは、どこまで信じていいかわからない。
この2人に比べれば、彼らを追いつめる悪徳警官達のほうが、ずっとストレートでわかりやすい人間に思える。
ラストは個人的にはとっても良い感じた。あらすじは非常にアクションっぽいが、実は「人生をやりなおす」というテーマのドラマ。観終わってしみじみした。