REVIEW

武器商人の話

2008.01.15

Lw
DVD REVIEW
「 ロード・オブ・ウォー」(2005・アメリカ)

 「武器商人」というのは映画やマンガで印象的な脇役の場合が多い。「お金さえあれば、何でも揃えますよ。ヒヒヒ」という感じだろうか。でも本作では主人公なんです。
 作中では「戦争」より「武器ビジネス」がズームされ、貧しい移民から這い上がるひとつの「仕事」として「武器商人」を選んだ男のストーリーとなっている。
 主人公は淡々としていて、特別な人間には感じられない。たまたま、向いていた仕事が武器商人だった…という感じである。
 ニコラス・ケイジは適役で平凡さのなかに、本人も自覚していないような鋭さが同居するキャラクターを演じている。普通のサラリーマンのように、仕事を進めていき、その合間に美人な妻との結婚を夢見る。弟の心配もする。
 取引現場にてドキドキする人間臭さもたっぷり。優秀だけどラストまで冷酷無情な武器商人という感じはなく、人間らしい。そこがまたリアルなのである。主人公は自分が正しいとは思わないけど、自分を必要とする人がいる、という自覚が感じられる。
 本作は現実の武器商人の取材を通して作られており、かなり具体的な取引や、武器ビジネスの雰囲気が伝わるようになっている。反面、ユーモアや、ポップな印象のシーンも多く2時間以上を退屈させない娯楽性も備えている。
 主人公を追跡する刑事役のイーサン・ホークも、派手な立ち回りもなく、渋く、執拗なところもまたリアルなんだろうな。


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