KCデラックス
「僕の小規模な生活(1)」 著者: 福満しげゆき
正月実家で過ごす対策にアマゾンでオーダーした一冊。実家を送付先にしたら、親がなにかと思って全部開封されてしまいました。母がこの単行本を読んで「こんな人がいるんだなねぇ」と言ってました。僕が買ったキッカケは、モーニングで読んで、印象に残ってまして。注文した次第です。
いわゆる漫画家である作者自体を主人公にした夫婦のエッセイ漫画なのです。主人公は内向的で、社会性の無いことに悩んでおり、それがもとでいろいろ失敗したり、奥さん奇妙な行動が見所になっております。
メインはいわゆる自虐ネタなんですけど、それだけだったら僕は買わなかったと思う。社会性の無い部分が、奇妙に暴走したり、無駄な妄想を繰り返すところが、ひとつの作家性というかティストが生んでいるのがおもしろいのだ。たとえば、ある話で昔冴えなかった同級生がバンドをやっていて良い感じなのを見て、自分もできるはず!と思い自分でも無理やりバンドを組んでライブをやってしまう。でも、たいして楽しそうでもない…といった、読者の許容を越えた自虐的ともいえない主人公の暴走がおもしろい。
他にも無数にある暴走の中に、作家であるこだわりや、コンプレックスの裏返し以上の悪意もあったりする。それを素直に描いてしまうのはすごいなぁと思う。つまり、読者の同情や共感を得て支持してもらう、というスタンスではないのだ。なので時には読感は不条理漫画に近い場合もある。そこが作者の本質だと思うし、ガロで活躍していたのも納得できる。あと、やたら奥さんが寝ているシーンが多いのですが、それが可愛くて好きです。