洋画★シネフィルイマジカ
「13/ザメッティ」(2005)
グルジア出身の新鋭ゲラ・バブルアニ監督・脚本作品。あえてジャンルをいうと、サスペンスなのかなぁ。貧乏な若者が、偶然ある金もうけのチャンスを内容のわからないまま手に入れる。実際に行ってみたら、金持ちが大金を賭ける集団ロシアン・ルーレットの秘密会場だったいう話。もう、逃げることはできない。
話自体は凄く斬新な訳でもないし、恐らく新人監督の低予算作品なためか、目を見張るアクションや、手間暇がかかったシーンがある訳でもない。人物の描写についてもやや浅い印象もある。しかし、逆にいえば上記のマイナス要素が途中で観る気を無くすところまで、いかないところに本作の魅力はある。
貧乏な家庭の若者が、狂気の世界に迷い込んでいく姿を淡々と描いている。モノクロの映像もそういった雰囲気作りに効果的だ。このゲームにお金を賭ける金持ちは、最大に退屈してしまった人種であり、このゲームに参加している人は、最高に絶望してしまった人種なのだろう。この退屈と絶望というダークなイメージが、本作の主役と考えれば、人物描写が浅いのも納得はできる。描くのは個々のキャラクターというよりも、退屈と絶望を死のゲームでつないだ「システム」なのだろう。
黒い霧に包まれた「システム」を体験して欲しい。そして、これは形を変えてリアルに存在するかもしれない。