FilmReview
「レディ・エージェント」 (第三帝国を滅ぼした女たち)
タイトルで、とんでもB級モノかと思えばそれは邦題。実話ベースの作品。内容はシリアス。ジャンルは「戦争救出モノ」。バランスはとれているので普通に見やすい作品に仕上がっている。
主演はソフィー・マルソー。この女優といえば近作では「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」に出てましたね。007ってあんまり有名な女優が出演しない印象なんで、マルソーが出演したのは意外だったな。007でのマルソーは、まぁ007ワールドの中で無難に演技していた印象しかない。ストーリーもおぼえてないなぁ。なんか痛みを感じない悪役いたよね。
でも、本作のマルソーは凄くいい。女性兵士で狙撃手という設定。それが納得できる立ち振る舞いは見事。キリッとして「兵士」という感じの動きがいい。顔色が悪く、影のある感じがまたいい。病院のシーンで看護婦に変装して、サイレンサー付きのハンドガンを打ちまくるのが本当にかっこいい。なんていうか、派手さはなくて無駄のない動きがなんともリアルで、表情も控えめ。それで、白衣。最高だよなぁ。ホント。短いけど華のあるシーンになっている。
表情は控えめだけど、いろいろなシーンの微妙な表情の変化で、屈強な女性兵士のナイーブな一面が観客に伝わる演技となっている。そして狙撃手としてライフルをかまえるマルソー。これもまた絵になってる。占領されたフランスを舞台に、敵だらけの中の放り込まれた女性ばかりの特殊部隊の行動がスリリングで、最後まで飽きさせない。
あと、ポイントは敵役のドイツ軍将校が、映画でよくあるステロタイプな残忍一筋な感じではなくて、優しげなインテリふうなのは新鮮。それじゃ、敵としてもの足りない、という意見はあるかと思うけど、僕はそこは逆に人間らしさというかリアルな感じがしたけどね。それに結局、部下に命じて拷問させてるしね。その矛盾がリアルでしょう。