Film Revew
『ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男』(封切作品)
Story:実話をもとにした作品。1970年代、中年になり作品の売れない作家アーヴィングは起死回生のアイディアを思いつく。それは大統領にも影響力があるが変わり者で隠遁生活をしている大富豪ハワード・ヒューズのインタビューをねつ造して、出版することだった…
ひさびさにスガイシネマズ札幌劇場に行く。女性が多いな、と思ったらレディースディーでした。なるほど。自販機でカフェオレを買って席に座った。平日の夜なんで、ゆったりと座れた。いい感じ。
主演はリチャード・ギア。この俳優については「愛と青春の旅立ち」とブルース・ウィルスと共演した「ジャッカル」ぐらいしか知らないなーという知識のなさ。最近は忠犬ハチ公のハリウッド版にも主演したらしいですね。実は本作と監督が同じということ。
ギア演技の印象としてはやはりスターらしい「華」はあるかなという感じ。強いクセはないが、演技だけでひきつける魅力はあったと思う。本作はSFとかアクションのように特に映像的にみせつけるシーンがある訳じゃないから、俳優の演技はかなり重要になる。その点はギアは良かった。普通だけどひきつける。画面にいるだけで退屈はしない。魅力がわかるような気がした。
内容的に、出版社の裏側やニセ原稿作りのプロセスが深く描かれるかなと思ったら、そのあたりは意外にあっさりと肩すかし。そこは軽めにしておいて、その代わり、相棒とのやりとりや妻と愛人の関係についてのシーンを多く描いて、主人公の人間性について深みを持たせている。このあたりはどこまで事実に基づいているか不明だが、ドラマ的におもしろくしているのは確か。
作家として詐欺師であると同時に、プライベートでも詐欺師だったのかな、と思う。主人公が虚構を繰り返すことによって自分自身も虚構と現実の区別がつかなくなっていく雰囲気もいい。そのため出版とかに特に興味がなくても楽しめる作品になっていると思う。
あと、みどころは70年代のファッションやオフィスのインテリア等が良かったな。メインではないですが素敵なアクセントになってます。70年代って何でもオシャレに感じるなぁ。ファッションにしろ、アートにしろ。
なんか、みてくればっか書いたので、内面的な話を。嘘をつくと、さらに嘘を重ねることになる。本作は別に「嘘はダメです」という啓蒙的なところはないけど、嘘をつくと、嘘を重ねるしかない。そうしてすべては嘘になっていって、嘘を言っている本人も嘘と現実がわからななくなるのがこわい。これはきっと現実もそうかと思う。嘘って、危険だなと思いました。