「ドラゴン・タトゥーの女」 (封切作品)
/ THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO
●フィンチャー節あり。
えーと、僕がデヴィッド・フィンチャーで観た作品いえば「セブン」(テレビで…)。あと、「ファイトクラブ」(レンタルで…)ぐらいか。「ファイトクラブ」はかなり好きだよ。ブラピも良かったし、エドワード・ノートン好きだし。
そうそう、「エイリアン3」も、この監督なんだよね。最初は知らなくて。僕は「エイリアン」シリーズは好きなんですが、フィンチャーの「エイリアン3」は一番しっくりこなかった。VHSを持っていたのですが一回観て放っとおいた。なぜかといえば、その時、僕はキャメロンみたいなノリを期待していたかもしれない。
のちのちフィンチャー作品として意識しながら、観るとそれほど悪くない。ただ、シリーズで一番大予算を組んだ作品と知れば、やはり他の2作よりは劣っていると思う。ここだ!いうシーンが思い出せない。まぁ、3作目でどれだけオリジナリティを出すか、というのはキツイテーマだと思う。その点おおきなハンデがあったといえる。
前置き長すぎでしたね。本作はおもしろかったですよ。長いけど退屈しなかったし。印象としてはいい感じでハリウッド映画だなーということ。観る前は158分という上映時間から文芸作品みたいかなーと思った。でも、実はしっかりエンターティメント。タルコフスキーみたいな長回しでじっくりなんてシーンはありません。しかし、グロなシーンはあるので注意。
サスペンスのストーリーを実にサクサクした編集で進行していきます。サクサクすぎて、油断すると振り落とされるジェットコースタームービー。ラスト近く僕少しは放り投げられました僕はなんとか空中で一回転してなんとかコースターに戻った。でも記憶が少し抜けました。
テンポがいいのは下手すると、それだけでドラマが無味乾燥になる可能性がある。そのギリギリのところで、人物の感情の動き伝えているのがフィンチャー節だなぁ、と思いました。
普通の監督なら、大金持一族が出る映画というと、品のいい顔の裏にあるドロドロした部分を抽象的だったり、比喩としてのシーンを出しそうですが、フィンチャーはひたすらMTV的にサクサク進行させます。そのスピード感が監督の意図したものだとすると、オープニングのド派手なタイトルも理解できる。スウェーデンの平和な光景が退屈に感じてくると、ちゃんとセンセーショナルな場面も同時平行で観せるのが、良い意味でハッタリが効いてる。その辺のサービスが効きすぎてて、サスペンスとしてのラストはやや拍子抜け。それでも、おもしろかったからいいか、と楽しく許せる作品ではありました。