第05回
「恐怖の気分返還」(2013.2.18)
「仕事の字間」… 僕の考える仕事とは、報酬に関係なくなにかを成し遂げること。そして、人生は「ちいさな仕事」の積み重ね。そんなことを考えながら、おおくりするコラムです。
自宅の駐車場。雪で車が埋まった時、とても明るい気分にはなれませんが、あんまりそういう時は考え込まないで、できるだけ暖かい作業のできる格好をして、除雪に取り組むのがいいようです。しなければならないことに淡々と取り組むのは美しいですね。
さて、今回は前回の「捨てる」のテーマを今回もやりたいと思った。でも、とりあえずやめときました。「捨てる」は僕にとって、極めて重大なコトでして、2回連続で書いてもとても終わるものでもありません。多分これから繰り返し、語っていくことでしょう。先は長いですから。
一息ついて、今回は別テーマ。でも、実は結局は「捨てる」というところに関係してく可能はありえます。それだけ「捨てる」というテーマは深い。結局、生き方というものは、「なにかを選んで」「なにかを捨てる」という連続だと思います。「捨てる」というもはモノだけではありません。自分の心の中になにかを「捨てる」ことも大事なのです。
という訳で「捨てる」は少しよそに寝かしておいて、今回のテーマは「気分転換」。これはホント恐ろしいことです。まず、考えないといけないのが、「気分転換の成功」という大問題です。
気分転換は「転換が成功」してはじめて意味を持ちます。成功があれば必ず失敗がある訳です。「失敗した気分転換」というのは最悪です。仕事等の進行を止めて、やってみたのに結局、時間のムダになってしまう訳ですから。
ムダにも意味がある、なんて考えてはいけません。ムダなものはムダなのです。「ムダから生まれた」なんてエピソードが時々披露されますが、結局それはムダではなかったのですからムダではないのです。随分、僕はムダという言葉を使ってしまって、ここにムダが発生しています。でも、僕はあえてデリートキーを押さない気分です。それだけムダのムダは主張しておきたい。
覚悟のうえ真剣に気分転換しなければ。ということです。タバコは健康に悪いらいしですが、それでも吸うのはひとつの覚悟があるかもしれないです。僕はそう思います。
そして、気分転換とは、正確には気分「返還」だと思うのですよね。人は基本的に正常な思想や思考を持っています。性善説(僕の考える性善説は性悪を常識によって性善に持っていること)に基づいて、気分転換という行為によって、自分本来の正常で常識的な気分へ「返還」していくことだと思うです。
さてさて返還。返還。仕事、家事、勉強がたび重なることによって、精神の安定は崩れていって、性悪な部分を動き始める。そうなるとグンと精神が危険な状態になってきます。こういう時に気分転換が必要になってくる。その方法は、人によって違うでしょう。だから、おまかせします、好きなことをどうぞ、なんてことは絶対書きたくはない。なぜなら、成功する気分転換の方法、というのはひどく限定的なコトだと思うです。
気分転換は僕はこう定義します。リスクを伴わなくて2〜3分で完了できるもの。これを全力で気分転換に取り組むということです。例えば、僕の気分転換は上写真のようなタブレットを1粒口に入れて、パソコンの時計を2分程度なにも考えないで眺めます。これだけ。この程度で気分転換には十分だと感じます。「それは足りないでしょう」という人もいるかと思いますが、案外気分転換というのは2分くらいで大丈夫なのです。大事なのはできるだけ「なにも考えない」という状態が気分転換になるということです。
逆に考えると、人間がなにも考えないような状態でいるのは2分以上は難しいのではないでしょうか。必ず、雑念が流れてくるし、それがあるともう気分転換にならない。だから、僕は2分程度できるだけなにも考えないように努力する。これが案外いいものです。僕は気分転換するのにたくさんの時間は不要だと思うです。5分以上は長いと思う。それだけ時間があればひと仕事を進行させることができる。結局、いくら気分転換に時間をかけても、仕事自体が減る訳ではないですから。
「気分転換」は「リクリエーション」とは違います。前者は、「休養」であり、後者は「遊び」です。これは区別して考えないといけません。「15分ゲームをする」とか、「DVDを観る」というのはもう気分転換ではなく、「リクリエーション」、つまり「遊び」です。それ自体は大変良いのですが、仕事の途中で「遊び」を入れると、基本的に効率は悪くなると思います。気分転換の役割はあくまで、自分の気分を、シンプルで良識ある自分に「返還」していくことですから、どこでもできて、時間がかからない方法がいいと思うです。
実際、雑念を減らした2分という時間は以外と長く感じますよ(ちよっと、やってみてください!)。2分の間も雑念を払うは難しいので、そんな時は、「何も考えない」というの言葉を繰り返すのが、なかなかいいですよ。
気分転換中は「雑念を捨てる」……結局、「捨てる」話になりましたね。
文と写真 石川 伸一(NUMERO DEUX)