NUMERO DEUX NEWS 16042 札幌のアートなニュース。
歩くのは、はじまり。
は生まれて、よちよち「歩く」。シンプルな動作。そこから人生が広がっていく…カフェでの会話もいい。でも時には「歩きながら」話をするももっといい。例えば、打ち合わせの帰り道、お互いの次に向かう方向が別れるまで、企画等の話の続きの話をしていく。相手の横顔、身振り、少しづつ変わっていく風景。足を運ぶことに、話も進んでいく。お互いの人生も流れ、交差する。時には一人で歩で歩く。そこで浮かぶアイディアも、デスクに座った時より良い気ががする。いや、きっといい。つまり「歩く」と良いことがおこる、僕はそう思うのだ。そして、僕達は毎日歩く。
「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち」の出品作品のひとつを紹介しよう。それは「光陰矢如」石田勝也・船戸大輔の2人よるインタラクティブな作品。そのタイトルは「月日が矢のように瞬く間に過ぎ去ってしまうこと」を意味することわざ。壁面に設置されたLEDは、歩行者を探知して光り輝く。作品タイトルとなった普遍性のある言葉をテクノロジーを使って実体化している。その表現を見て、僕たちは気がつき、考える。歩くことについて。これは現代アートの表現として、素晴らしい実験だと思う。なぜか、気がつき、考えさせることによって、「昔」と「今」をつなぐものだから。そして、結果「未来」を考える「思想」となる。
公共空間に配置されたアート。それは足早に歩く今を生きる人に反応していく。それは自分が光らせても、他者が光らせてもいい。歩くことは、未来にむかって進むこと。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち
『光陰矢如』
会期 : 2016年7月9日(土)~2016年10月12日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館