NUMERO DEUX NEWS 16043 札幌のアートなニュース。
良質のアートは、
刺激と心地良さが同居する
アートに自分が一番求めるのは刺激ある、心地よさなのかな、と思う。矛盾するような2つの反応だけど、ただ心地よさ「だけ」だと、自分の中でぬるい感覚で終わってしまう。それはまるで休日の寝坊のように空しい。心地よさに、自分の視点を変えさせるような「刺激」が加わるといい。言い換えれば「刺激のある、心地良さ」とは「新しい視点であり、自分の中に素直に受け入れる」ことだと思うのだ。それが「ある」展示を紹介したいと思う。
僕は伊賀信の作品を見るといつも一瞬、戸惑いがある。幾何学的作風に美術やアートという視点で考えることを、少しためらってしまう。これはアートなのか、デザインなのか、両方なのか、両方違うのか。心で問答する。そして、結論が出る。これはアートだということ。そして、刺激と戸惑いの理由は、伊賀信の持つ良質のオリジナリティだと思うのだ。そう考えると、僕の心情は刺激から心地よさになっていく。これは最初に書いた僕の好きなアートのひとつの見本が、伊賀信の作品にはあることの証明になる。
伊賀信は1961年生・札幌在住。細い木材を主な素材として、綿密に構築した設計図上にパーツを積み上げた幾何学的な作品を制作。作風は平面を超えて、立体的であり、インスタレーションとして空間を作り出している。「幾何学的抽象芸術実験室=G.A.A.L」主宰。
本展示を見て、刺激を感じて欲しい。
そして同時に心地よさも。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
伊賀信展『GEO SPACE』
会期:2016年7月21日(木)~8月16日(火) 11:00~19:00 最終日17時迄)
会場:グランビスタギャラリー サッポロ(札幌グランドホテル1階ロビー)