コラージュ再考。
フラッシュバック。
アートって、なんでもありだよね。という発想は正しい。ただ、そればかり考えると頭の中の動きが鈍くなる。今あるアートは最初からすべて存在していた訳ではない。アートの歴史という時間の流れの中で発明されたり、改良されてきたもの。今、あたりまえのアート(表現)が、無い時代もあった。それを思い出しながら、アートを見ていかないと、新鮮でクリアな視点でアートを体験できないと思う。
アートの技法の中で「コラージュ」というのがある。それは、さまざまな既存の素材(写真、書籍、雑誌、新聞、書類などの既存の素材)を「組み合わせる」ことによって、作品をつくる技法である。
本展示のブレア・サクソン・ヒルによるコラージュ作品。ぱっとみると、その白黒でクラシックな力強い質感はコラージュには見えない。しかし、もう一度目を凝らすとコラージュが見えてくる。その発見。いいなぁ、この強さ。なんだろう、素直で優しい強さなのだ。僕はこれは魅力だと思う。明るい強さとも言い換えることはできるだろう。どこまでも魅力的だ。それは、たぶん繰り返しだが「強さ」だと思うのだ。そして、それは優雅さを持っている。
本展示は札幌の姉妹都市ポートランドのアーティスト3人よる内容。今回のテキストでは、コラージュ作品を出品した。ブレア・サクソン・ヒルの作品を紹介した。他の2人の作家の作品も見る価値のあるものだと思う。ぜひ、足を運んで見て欲しい。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「500m美術館開館5周年企画 札幌・ポートランド姉妹都市交流展」
会期 : 2016年10月29日(土)~2017年1月18日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館
出展作家:
Blair Saxon Hill(ブレア・サクソン・ヒル)
Peter Simensky(ピーター・シメンスキー)
Zach Yarrington(ザック・ヤーリントン)