毎日の字間

2017.02.11-2 映画の琴(コト)『KT 』

2017.02.11

kt

『KT 』(2002)

1973年に起きた金大中事件を題材にしたフィクション映画。本事件を簡単に説明すると、日本に滞在していた政治家金大中が東京のホテルから韓国の情報部に誘拐された事件。本作は、日本人の主人公(自衛隊情報部)、韓国情報部、韓国人のヒロイン、戦争体験者のジャーナリスト、日本に住む韓国人二世(韓国語がわからない)等の登場人物を交えて、ひとつのサスペンス映画として作り上げている。

本作、僕は気に入っている。映像や音楽はなんか、すごーく地味。娯楽映画らしい、リズム感が希薄。カメラアングルも静的で、登場人物たちの「告白」をずっと聞かされているような気分になってくる。音楽は布袋寅泰だが控えめ。つまり、監督はひたすら地味な映画をつくりたかったのかな。

この珍しい「地味」加減が僕は好きだけど、エンターティメントとしては物足りないと感じる人は多いかもしれない。特に後半のアッサリ具合はそう思う人は多いだろう。しかし、本作の見所は「実行」よりも「実行しなければならなかった」人の背景の話だと思う。正直、僕は主人公の行動原理には感情移入はしにくい。それとは別に、泥臭い新聞社で働きながら、休みの日は少年野球を監督する記者のほうに多いに共感してしまう。

ishikawa
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)


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