「おっ、アングラな活動していますね?」
「アングラ」という用語を知っているだろうか?「アンダーグラウンド カルチャー」の略である。僕の感覚だと、この言葉使いは自分より上の世代の人が使う感じ。僕は世代的には「サブカルチャー」という言い方がしっくり来るかな。といっても、自分で「サブカルチャー」として、メディアづくりをしています…なんてことは言えない訳ですよ。まぁ、立ち位置を示すためにインディのメディアづくりをしています、ということかな。そして、今は「オルタナティブ カルチャー」という言い方が最新だろうか。いや、それも結構時間がたっている気がする。ここまで書いてカタカナ用語を多様する文章は読みにくいなぁと思った。
と書いてきて「いったいどういう意味なんですか?」と思う方いるはず。簡単にいえば、今出てきた3つの用語は「一般的ではない文化芸術分野」ということだと僕は思っている。さらに簡単にいえば「誰でも知っているとは限らない文化芸術分野」ということか。なんかぼんやりとした感じだが、細かく考慮するとこうとしか書きようがない。定義を曖昧にすることによって、定義が成立する。なぜ、曖昧なのか?
こうした文化・芸術分野の用語の定義を正確におこなうのは難しい。だから、これを数学的なロジックで捉えようとすると理解が逆に難しくなる。結局、これらは時代の空気感とリンクしている。定義を文字で理解しようと思わず例えば「アングラ」を理解したいと思ったら、そう呼ばれた作品をできるだけたくさん鑑賞してみるのがいい。たくさんの作品を観る、そして作品について書かれたものも読んでみる。この繰り返しが大事なのだ。
本展覧会はポスターハリス・カンパニーの 2 万点以上所蔵する「現代演劇ポスターコレクション」から「アングラ演劇」の傑作ポスターをセレクトして展示。同時に当時の資料や関連商品の販売をおこなっている。
「アングラ演劇(小劇場運動)」は、1960~1970 年代にかけて、日本の演劇界は新劇(ヨーロッパ流の近代的な演劇)をとはまるで異質な世界を創造することを目指して、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、佐藤信、串田和美らが実験的な演劇を作りだしていった。その告知のポスターは、単なるおしらせの機能を超えてアングラ演劇のイメージを広く伝えるための強力な「メディア」となっていた。まだ、インターネットの無い時代。ポスターは貴重なメディアであったはずだ。
繰り返そう芸術の理解は、作品を観ることからはじまる。本展示を観ることは「アングラ」を理解するのに一番いいと思う。空気感を捉えることができるから。「アングラって、こういう感じね」と。その「感じ」が大事なのだ。そして、テキストを読む。そうすることによって、いろいろなアート用語の定義も肌でわかってくる。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
アングラ演劇傑作ポスター展「ジャパン・アヴァンギャルド」
会期:2017年3月9日(木)~4月11日(火) 11:00~19:00(最終日17:00)
記念トーク&レセプション:3月9日(木)18:30~20:30
会場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階)
入場無料