毎日の字間

2017.05.6 映画の琴(コト)『カジュアリティーズ 』

2017.05.06

カジュアリティーズ,jpg
『カジュアリティーズ 』(1989年)

 

存在は知っていたけど、観ていなかった映画、というのがある。たくさんあります本作も、そのひとつ。ベトナム戦争をテーマにした映画はいろいろ観ているとは思う。それこそ「ランボー」から「ディア・ハンター」「プラトーン」などなど。いろんな切り口が考えられるので、興味深いテーマだと思う。

僕が本作をなんとなく避けていたの理由。それはマイケル・J・フォックスが主演があると思う。僕はこの俳優は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の印象が強い。あと、ホンダのインテグラのCM。それらからどこか「軽い」ポップスターなイメージを持っていて、シリアスな戦争ものは似合わないのではないか…そんな一種の偏見から、観るのを避けていた。しかし、今回観る機会があった。契約しているサービスで、無料で観られる作品になっていたのだ。

これがなかなかの名作だと思う。28年前の作品である。それにしては、戦闘のシーンも見応えがあり、戦地の自然の撮り方もうまい。ストーリーもキレイにつくりあげられていて、決して派手なシーンが続く作品ではないが、退屈もなく緊張感が続く。

そして、共演のショーン・ペン。予想通りのいい演技をしてくれる。ただ、それが予想とおりすぎて、フィクションが強まる。そう、本作はじまりかたから終わりまで、キレイすぎるというか、ベトナム戦争にいったひとり若者の内省の物語として、静かにまとまりすぎている気がする。それって、とっても映画として美しいし、僕は大好きなんだ。しかし、人によっては、物足りない人がいると思う。監督はブライアン・デ・パルマ。本作ではかなり良い仕事をしていると思う。

ishikawa
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)


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