現実と嘘の違いはなんだろうか?
それは実は大きな問題ではないかもしれない。結局、自分が「どう」感じたことが一番大事なんだ。現実でも自分がなにも「感じなければ」嘘となる。現実でなくても何かを「感じれば」それはリアルになるのだ。それを前提として…僕は自分の(ノン)フィクションの中に入っていく。それはまるで映画のように。
そう、僕の一日は、まるで短編映画の寄せ集めだ。アート系もあり、笑えるのもある。オチがないのもある。人生は映画的というより映画だ。角膜がスクリーン。映像は3D。座席はあったり、なかったり。そして、一日の終わりベッドに入る。目を閉じた時がラストシーンとなる。エンドクレジットはなし。といっても、夢というもうひとつの映画館に出かけることになる。
北海道を拠点に20年以上のキャリアを重ねるテクノ・ユニットYAMAOKA。国内でのライブPAや、国内外のレーベルにて12インチは31枚、アルバムは23枚。コンピレーションの参加も多数という、その長い活動歴にキチンとむきあった密度の高いクリエイティブを発信している。2016年12月に CDアルバム 「SHORT FILMS FOR LONG DAY」” がオランダのDATABLOEMからリリースされた。2枚組 で21曲収録。聴き応えのあるアルバムだ。
テクノのインストアルバム、というと馴染みのない人多いと思う。でも、そこはひとつの音楽のアルバムとして楽しんでほしい。本作はアッパーなクラブサウンドとは違うし、静粛なアンビエントとも異なる、静かながら躍動感のある曲が揃ってる。本作の音色の中にあるオリエンタルな味は僕達に馴染みやすい。そして、例えるなら、クールだが冷徹ではない。ヘッドフォンで聴いて歩く、または車でかけてドライブする。そうすると本アルバムは目に入る景色に実に馴染む。都市でも自然にも。それは、僕の映画な人生に彩りをあたえてくれる。このアルバムはまるで、自分の人生のサウンドトラックになると思う。
テクノのイメージはインダストリアルとだけとは限らない。僕達の生活は、いつのまにかすごいテクノだ。だって、スマートフォンというテクノロジーの塊を身に着けて生活しているのだから。
Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
Yamaoka : short films for long days (2cd)
DATABLOEM / Release Year 2016
21 Tracks, 140 Minutes / 2 CD’s in Two CD Digifile
http://techno-yamaoka.seesaa.net
http://databloem.com/home/1107-yamaoka-short-films-for-long-days-2cd.html
https://soundcloud.com/atabloem/yamaoka-short-films-for-long-days-preview