生活を楽しくする簡単な方法は「見方」を変えること、だと思う。見方を変えれば、世界は変わる…なんて大げさで、誇大妄想的かもしれない。正確にいえば「見方」を変えて、自分の「行動」も変える、ことなんだよね。
見方とは、物事の考え方、捉え方の事。実は、このセンスを身につけるのは、今の時代は実に大変なのである。なぜなら、見方を通して考えなくてもいい。手元のスマートフォンのネット検索で、大抵のことは「答え」が出てしまう。それらを選択することは「見方」とは違うものだ。しかし、答えを選ぶのは楽である。だから、ついついネットや、ほか他者の情報に頼ることになる。ただ、人生の大切な舵取りでは「見方」を持っていることはとても大事だと思うのだ。
僕は「水石」に出会った。これは日本で古くからある芸術。室内で石の中に自然のさまざまな風景(宇宙)を感じ取り鑑賞する文化・趣味である。石は川等で採った自然石で、加工等を一切しない。自然のままの石に木製の台をつけたり、水盤と呼ばれる砂を入れた器にいれて鑑賞する。盆栽や掛け軸と組み合わせて展示することもある。そう、盆栽とつながりは強い。
水石は「見方=見立」ての世界である。基本的な約束事はあるものの、後は自分の見方で、作品をつくりだす。先にも書いたがル−ルとして石を加工することはできない。加工できない限界をそれを思考=見方でカバーする作品作りなのだ。これが一番の楽しみとなる。
札幌での「水石」を観ることができる機会は少ない。本展示は大規模展示であり、大変見応えのある内容だった。そして、たくさの「見方」を味わえる場だった。水石の世界は「見方」によって自然という宇宙をつくりだす。それを味わうものである。そのプロセスは自分の心と向き合い、見方をつくる時間だと思う。
Text by メディアプランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「第5回 北海道水石連合展」
会期:2017年7月28日(金)~30日(日) 10:00~17:00
会場:札幌市民ギャラリー(南2東6)