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「非常ベル」
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オフィスビルの廊下を歩く▼時々、非常ベルをみかける。ちょっと地味な場所に設置されていることが多い▼ふと、みかけるごとに「押してみたい」という衝動が起こることがある▼火事を期待している訳ではない。ただ、押したいのである。要するにイタズラといえる▼もちろん、押したことはない。ただ、押す想像をいつもする▼想像で押す。するとジリジリという音が建物全体に鳴り響く。人の動きが止まる。すべてが凍りつくような瞬間▼日常に入り込む非日常。そこを想像するのが好きなのだ▼まさに非常ベル。
失礼します。
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