David Sylvian&Holger Czukay,
「Plight and Premonition」(1988)
寝る前のまどりろみの時間に聴くインストは最高。
すぐ寝られるように歯を磨いて、パジャマに着替えておく。椅子に座りながら、オーディォを眺めながら音を楽しむ。
デビッド・シルヴィアンというと、ヴォーカルが魅力であり、ヴォーカルに焦点を当てたアルバムも素晴らしい。基本的にハズレない。実験的な編成を好むアーティストだけど、ギター1本で歌っているような曲が一番いいのではないか、と思えるくらい。
でも、本人はそれだけでは満足せず、自分のヴォーカルをあえて封印して、インストのアルバムもコンスタントに制作している。もともと、バンドのヴォーカリストだったのに、ここまでインスト作品の発表にこごだわる人も珍しいかもね。
本作は年代的に「インスト修業中」の時期で、音響ものの元祖で現役ベテランのシューカイと組んでアルバム。長い作品で全2曲。即興的な要素の強い音楽である。
音の感触はクールで、単調とも聴こえる時があるが、非常な緊張感が全編にあるので、退屈はしない作品である。
僕の印象では多分、主導権はホルガーシューカイがとりながら、シルヴィアンも自分のアイディアを足しているのではないか。キーボードの入れ方がシルヴィアンぽいところはかなり確認できる。
このコンビで2作目「Flux + Mutability」が制作されており、それは本作より明るいトーンであり、リズミカルで、多様の音楽性はシルヴィアンがかなり主導的にやったのかな、と想像できる。シルヴィアンって、どんな作品でも一定のサービス精神を発揮するので、ものすごくマニアックにはならないと思う。二つの作品を聴きながら制作についていろいろ考えるのも楽しい。