Film Review
「007 消されたライセンス」(1989年)
● 2作で降りた4代目ボンド。
ティモシーダルトン
2作で終わった4代目ジェームス・ボンドであるティモシー・ダルトンの2作目。この後のボンドが、ピアーズ・ブロスナン。たった2作のダルトン作品であるけど、「リビング・デイライツ」と本作は僕は個人的に好きな2作である。
ダルトンのボンドは、英国紳士のようなスタイリッシュさやスマートさには、やや欠けるますが、ダルトンのほうが今ふうのリアルな人物として親近感があります。紳士ほど大げさではなく普通に育ちの良い感じ。
それに、6代目ボンドのダニエル・
ダルトンのボンドの最大の魅力は演技だと思う。表情の演技がとても豊かで、しゃべなくてもボンドの気持が伝わってくる。それがオーバーアクションで嫌いな人もいるかもしれないけど。007は娯楽作品なんだから僕はわかりやすい演技を支持したい。運動神経の良さも含めてダルトンの演技のうまさは魅力的。
●おすすめの鑑賞法。
最初に書いたようにダルトン・ボンドの唯一の2作は、1作目を観てから本作を観たほうがいいと思う。なぜなら1作目はダルトン・ボンドの最初の作品ということで、とても007らしい、スタンダートな作りになっている。しかし、本作は前作に比べて、やや変則的な感じの作品に仕上げているので、本作から観るとちよっとダルトン・ボンドが捉えにくいと思う。僕的なお勧めとしては1作目「リビング・ディライツ」でダルトン・ボンドを気に入ったら、本作を観てみたらどうだろうか。まぁ、どちらでもいいですけどね。
●変則的なストーリーは隠し味のアレンジ
そんな訳で、本作はやや変則的なストーリーになってます。具体的には、そ普通、007作品は上司「M」から指令を受けて女王陛下のための働く諜報部員。しかし本作では、親友の仇うちに個人的な理由で敵のボスに向っていきます。最初から殺す目的なんでしょうね、多分。ただ大変則作品かというと、そうでもなくて、そこは007シリーズなので、エンターティメントという枠から当然外れないし、上司の「M」や秘密兵器担当の「Q」も登場。ヒロインとのロマンスもあります。組織人としてではなく、個人の意思で動いていくところが目新しいアレンジになっています。ただ、あくまでもアレンジなんで原曲が変るものではありません。
● 魅力はアクションとしての質の高さ
本作は、5代名ボンドのロジャームーアの後期作品が、ちよっとコミカルというか、おもちゃっぽい作風になったのを反省してかシックなアクション作品を狙っているのかと思います。ダルトン1作目から、そのラインで修正されていて、本作では、そこをもっと押し進めて、身体ひとつで巨大な組織に立ち向かうボンドを描いています。
その中で、CIA局員の女性協力者がヒロインになっていて、きれいで強くて、繊細なキャラクターがいい味出してます。悪役のロバート・デヴィは生理的に気持ちの悪い感じのキャラクターで、これもいい悪味をだしてます。そして、その腹心の部下が、新人の頃のベニチオ・デル・トロで、出番は少しですがその気持ちの悪さはとっても印象的です。こう書いていくと脇役も、パッと見の派手さはないが、充実してますね。そうそう、本作はみたことのないような派手なビジュアルが少ないののですが、スタントを駆使したアクションが見所が多く、今みてもなかなか迫力があります。
● まとめ。
本作は、007作品なんだけど、友人への復讐のためにひとりで組織に立ち向かうアクション作品として独立して楽しめる作品になってます。ただ、より楽しむには、スタンダートな007ものを知っていたほうがいいと思うので、やはりダルトン007の一作目「リビングディライツ」と併せて観て欲しいですね。