第09回
「欲しい気持の中身とは」(2013.7.21)
「仕事の字間」… 僕の考える仕事とは、報酬に関係なくなにかを成し遂げること。そして、人生は「ちいさな仕事」の積み重ね。そんなことを考えながら、おおくりするコラムです。
▼「ほしい」とはなんなの?
・欲しいについて
「欲しい」という気持はいろいろ。「君が欲しい」というのではなくて今回は「モノ」が欲しい話。つまり「物欲」。そのおつきあいを考えたい。その内容も「買わなくても普通に困らないもの」について。生活必需品は検討の余地はないのだから…といいたいところだが…実をいうと僕は「生活必需品とはなんなのか?」についても大きく考えたい気持ちがある。でも、今回、その話をすると話が大きくなるのでヤメとく。
今回のテキストの都合上「生活必需品」仮定義としては、それがないと「物理的に生活できないもの」としておく。例えば、「生きるための主食」とか「仕事に着ていく服」とかですね。ザックリいきましよう。今回の論点は「楽しみのために買うモノ」についてですから。
・僕の物欲の歴史
自分のことだと10年くらい前は、欲しいものをあんまり考えないで買っていた。さすがに借金(ローンを含む)までして買ったことは、ほとんどありません(記憶にあるのは1回くらい)。新しいモノ好きとして、デジタル・デバイスや書籍やレコード、雑貨などなど、パッと買っていた時期がありました。街を歩いてお店を見るのは好きですしね。買う時はそれなりに自分で理由付けをしていました。図式でいえば「よく考えて(またはよく考えないで)」→「買ってました」。
それが、最近は「よく考えて(またはよく考えないで)」→「買わない」ということが多くなった。その変化の時点はよくわからない。ある時からコーヒーに砂糖を入れなくなったのか憶えていない、と同じくらいの「いつのまに?」という変化なのです。「物欲」は相変わらず旺盛なんですよ。お店を見るのが好きだし、アマゾンの欲しいものリストを充実せさるのも平日の食後の楽しみみたいなものです。
・欲しいものをリストにしただけで、満足する。
アマゾンの欲しいものリストは便利なツール。これはアマゾンで欲しいものを見ていて、でもカートに入れるほどのものでもない、というものリストで管理できる。欲しいものが増えた分類するために自由にフォルダーを作ることもできる。さらに、アマゾンで売っていないものもこのリストに登録できる。売っていないものは登録したからといって、アマゾンで決済できる訳ではないけど、とにかく欲しいものを一元管理できるのは嬉しい。
本来「買う」ための欲しいものリストであるけど、最近はリストにしただけで満足するコトが多くなってきた。自分の物欲リストを確認できるだけで、それだけで買わなくても楽しくなってきた。よくいう「買うまでが一番楽しい」という気持ちに近いかもしれない。買わない理由については経済的理由も大きいのだけど「お金がないから、買えない」ということにホッとすることがある。「よかった、買えないぞ」ってね。
もちろん買物を否定してる訳ではないから、たまに考えに考えて買うと、それは嬉しい。買物が減った分、買物の喜びは増える。成功する買物がしたいのだ。買物の勝者(!)でありたいのだ。どんなに高額な買物ができでも、それが物理的または心理的に成功しないと無駄な買物になってしまう。
・モノをもつ負担感にやられる。
「モノを持つ」ということに心理的な負担があると思う。モノは買った以上、つかわないともったいないし、管理もしないといけない。そして、自宅のスペースもとる。今の僕はその負担感が買う気分をマイナス(=慎重)にさせる。今は買うことより捨てる自分に快楽を感じている。または、買わない自分が気持ちいい。
お金をつかうなら、カフェに行くとか、美術館にいくとか、あとカラダに良い食品をとりよせるとか「体験」や「消えもの」に使うのが良い気分。そんな生活もどうですか??
文と写真 石川 伸一(NUMERO DEUX)