第10回
「時々、サイフを持たない」(2013.8.20)
「仕事の字間」… 僕の考える仕事とは、報酬に関係なくなにかを成し遂げること。そして、人生は「ちいさな仕事」の積み重ね。そんなことを考えながら、おおくりするコラムです。
■ひとつお金の節約術をアドバイスしたい。シンプルです。
それは…「時々、サイフを持ち歩かない」ことです。
「サイフ」とはなんだろう?それは社会とつながるためのツールで?僕は、外でなにかにつながる時につねに「お金」(クレジットカードも含む)が必要な気がしている。
「買う」時にお金がいるのは一番当然。どこかに「行く」にもお金がいる…地下鉄、市電、タクシー等。なにかを「観る」のもお金がいる…映画、美術館等。そして、誰かに会うのもお金が必要、カフェ、レストラン等。
もちろん、お金を使わないで上記のことを不可能ではない。なにも買わず、歩いて(自転車に乗って)、無料のギャラリーや図書館、公園等で人に会えば、お金を使わなくてすむ。でも、自分の生活環境では、そういったことを実践するのはかなり意識的にならないと難しい。「サイフを持ち歩かないなんで、不可能じゃない?
こう書いていると実行する前にあきらめている自分がいた。しかし、しかし、しかし、究極のお金管理として、「時々、サイフを持ち歩かない」というのは実はアリなのではないかと思う。サイフがなければ、衝動買いを防ぐことができる。そもそも、サイフがなければ、お店をみようという気分にあまりなれないし、カフェにも行けない。サイフのないアフター5を、どう楽しむのかというがテーマになる。「お金がない」ことによって、行くところ、見えてくる光景があるのではないか。そこが実は最大の狙いである。
サイフを持たないで、外出(出勤)なんて、いくらなんでも極論ではないか?と思われそうだ。たしかに極論であり、「緊急に必要な場合はどうするんだ?」という心配もある。しかし、生死に関わるような本当の緊急なら、それはお金の問題ではない(警察・救急車等)。「でも、毎日ランチとか、外で食べるので」。ということなら、そのランチ代だけを持ち歩けばいいと思う。サイフはいらない。そして後でいいからお弁当を作ることをおすすめする。
さて、「時々、サイフなし生活」を実行は、やってみると意外にできる。僕の生活パターンだと、週末以外の平日のルーチンな日々なら、ランチは自作だし、飲み物は仕事場にドリップコーヒーなり、自分用の紅茶のティーパックなり、カフェオレの粉末があります。お菓子もあよ。
それでも、最初、サイフを持たないで家を出るのはなんとなくドキドキした。自分で出費はしなくても急な支払いは発生しないか?でも、急な支払い(自分が忘れていたのではなく)は普通は1日は待ってはくれるでしょう。翌日支払えばいい。お金を使わないという話ではないのだから。
実際、「時々、サイフを持ち歩かない」のお金の節約効果については、まだまだ未知数です。結局、週末にお金を使う時は使うのですから。でも、まずは経済的な効果を急ぐより「お金を持ち歩かない」という心理的な部分を楽しんでいきたい。その結果、お金の節約にもなった、というお金の節約は2次的に捉えたほうが、逆に続くかなと思っている。
「サイフの呪縛」から離れてみませんか? 時々。
お金もかかりませんので。
文と写真 石川 伸一(NUMERO DEUX)