NEWS

NEWS No.17035「ツボカワ カオリ ドローイング展『 B.Rex氏の或る日の午後』」

2017.07.30

DF8RBg5UIAAGqV7

北海道も短い夏がきた。いろいろ遊びたい季節。ひとつ頭の中で遊びましょう。

僕がアートが好きな理由はいろいろある。そのひとつが「作品の世界で遊べる」ということ。空想、想像の世界で遊ぶ。これはとっても大切なことだと思う。現実の世界も、想像の世界も同じくらい価値がある。なぜなら、想像のない現実世界ってひどくつまらない。それに僕は想像こそ現実じゃないか?と考えるのが好きだ。すると人生をやり過ごせる気がする。想像の世界を軽視しちゃいけない。想像から現実が生まれることもあるのだ。

想像は自分だけでもできる。しかし、良いアート作品は、自分だけでは難しい、楽しい世界に誘ってくれる。今回そんな作家との出会いがあった。

ツボカワ カオリは、神奈川県藤沢市生まれ。2011年より北海道室蘭市在住。美術系の学校を卒業後、作品をつくり続けながら、映画の美術スタッフや、専門学校講師、 ワークショップの開催、雑誌広告、映画のグッズ製作などを手がけてきている。

15年以上のキャリアをもちながら、今回がはじめての個展。展示全体のコンセプトはタイトルのとおり、大学教授のB.Rex氏(人ではない?)が不思議な博物館に訪れ、その中の収蔵品が作品として展示されている。つまり観る側はカフェエスキスの中でB.Rex氏と同じ体験を共有することになる…作風は古い外国絵本のような雰囲気をもちつつ、よくみると無国籍調でもありユニークで観るごとに発見があって楽しい。想像の中でストーリーが浮かぶ。B.Rex氏は何を観て、何を感じたのか?平面作品のほかに、ランプや実験容器に入ったちいさな作品もある。これらは自宅にもかざりやすく、手頃でおすすめだ。

はじめての個展…というのが信じられない素晴らしい完成度。嘘ではないかなと思った。しかし、在廊中の本人とお話を少しさせていただいて、わかってきた。個展は初めてあるけど、彼女は卒業後、さまざまな現場で作品を作り、絵画、イラスト、フライヤー、グッズという形で発表し続けてきた。その中で作家としての力、そしてプロデューサー(キュレイター)としてのセンスも作られていったに違いない。そして今回の個展では、それまでの経験から自然な形で完成度が高く着地していったと感じた。

作品はコンピューターを使わないすべて手書きの緻密なドローイング作品。額装も作家自身が額縁店と細かく打ち合わせたつくった、オリジナルなもの。それも完成度の高さにつながっている。作家の地力を感じる。でも、それが暑苦しくないのがまたいい。クールな距離感がある。

不思議で楽しい展示だと思う。お茶をゆっくり楽しみながら、作品を観て想像の中で遊んでみてはどうだろうか。ギャラリーカフェで頭の夏休み。

Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「ツボカワ カオリ ドローイング展『 B.Rex氏の或る日の午後』」
会期:2017年7月20日(木)~8月15日(火)
平 日 12:00~24:00 /  日祝日 12:00~21:00
定休日: 水曜日
会場:カフェエスキス(中央区北1条西23丁目1-1 メゾンドブーケ円山1F)


ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top