かわいいの流動性と定義。その間にある人間性。
「かわいい」の意味。その幅がひろい。曖昧でもある。便利な使われ方もする。そこに美しさはあるのか、美は関係ないものか、わからない。そんなふんわりとしているのに、私達はこのフレーズを使うことが好きだ。日本には「かわいい」ものを愛する文化があると思うのだ。そこには、あいまいなものを愛する国民性にも関係があると思う。
「かわいい」の解釈は人それぞれ。美も解釈の別れるものだが、ある程度は一般化できるルールがあと思う。それに比べると「かわいい」は広い。僕は「かわいい」には「美」がないといけないと思っている。そこに僕の中では矛盾は無くて「かわいい」は「美しい」。そして「美しい」は「かわいい」という互換性があると思う。美しさのない「かわいい」は存在しないのです。
伊藤幸子は北海道出身・札幌在住の彫刻家。木や針金等の芯材に直接石膏をつけては削る直付の方法で、色鉛筆やパステルで彩色している。僕は本作家の作品は「かわいい」と思う。強度の「美しさ」にささえられている「かわいらしさ」がある。自分の理想がある。そして「彩色」というとこが、なんても「美しい、かわいらしさ」を構成する色気を感じるのだ。
Text by アート・メディアライタ 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
伊藤幸子 波音 等 500m 美術館vol.22「北の脈々 -North Line2-」」
会期:2017年4月15日(土)~7月5日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)