〜展示を観る
壁から生まれる未来
「『おこもろいな』—そんなこともあったね—」を観て歩いて。
地下鉄に急ぐ。走る。エスカレーターを左通行。ぶつかりそうになる。「すいません」。知らない人に僕はマスクごしに気持ちを伝える。ソーシャルディスタンス。建物に入ればアルコールポッドで消毒。体温センサーが僕の額をとらえる。僕(たち)は慣れはじめている。
そんなうずまく現在進行の「今」。僕たちを未来をどう考えて、やり過ごしていけばいいのか。
やり過ごすでいい?
「そんなこともあったね」といつか笑って言えるような思いを込めて、アーティストと企画グループによる壁面作品の展示「『おこもろいな』—そんなこともあったね—」が開催された。
無邪気とも思えるドローイングの中に、思慮深いフックが感じられる。本作は、新型ウイルスと政治やイデオロギーとか、と離れたところに「ある」と感じられるのがすごくいい。もっとシンプルに無邪気に優しく考えようよ、問われているようだ。
夢が見られない社会は不幸である。未来を語れない社会は不便だと思う。マスクも、消毒剤も続いていくかもしれない。でも、それ自体は不幸ではないかもしれない。「おこもろいな」とは、状況というより思想の進化なのかもしれない
過去の楽しさより未来への希望。いろいろなとこが進行形のがいいよね。
だって、つまり未来がある。大事なのは捉え方。
「500m美術館 vol36 500メーターズプロジェクト008」
「おこもろいな」—そんなこともあったね—
2021年12月11日(土)〜2022年4月13日(水
500m美術館
Text by メディア・プランナー 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX) Facebook / Twitter