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NEWS No.17028「出会いについて…緑寿会 春季盆栽展に出品したこと」

2017.07.06

緑寿会石川

人生の味わいは、自分の「環境」の影響が大きい。その言葉はとても専門的に思える。でも、難しく考えることはない。それはだれにでもあるもの。いいかえれば、今自分のいる「まわりのこと」である。それは、住んでいる地域、家、職業、健康・心理状態、人間関係がミックスされている。極めて複雑なミックスケーキなのである。そう、人生はケーキなのだ。

その「ケーキ」の味は定まっていない。社会というフライパンの中でゆらゆらゆれている。焼きあがるのが人生。それまで僕をハラハラ、ドキドキさせる。もちろん、そこには喜びや楽しみもある訳。自分にとっては人生とは日常とハプニングだと思う。これは人によって違うのだろうか?

半年前から住む「環境」(まわりのこと)が変わった。すると日々の生活も変わってきた。いい出会いもあった。僕にとって出会いは、いつも自分が変わるきっかけとなる。ここで、大切なのは原則として人生に出会いは大事だけど「出会いを求める」のが人生ではない、ということだ。ひとりの時間で、さまざまな自分を作っていく。そうしている中で、ある時にいい出会いにつながる。それがいいと思う。

繰り返そう。出会いを求める行動が一番前に出るのは良くないと僕は思う。もちろん、出会いを意識するのは大事。ただ出会いを良い結果にするためには、日々の自分の中の準備だと思う。それは「ひとりの時間」で思索し行動すること。「出会い」も自分の準備がなければ、活かすことができないのではないだろうか。

僕は「水石」に出会った。これは日本で古くからある芸術。室内で石の中に自然のさまざまな風景(宇宙)を感じ取り鑑賞する文化・趣味である。石は川等で採った自然石で、加工等を一切しない。自然のままの石に木製の台をつけたり、水盤と呼ばれる砂を入れた器にいれて鑑賞する。盆栽や掛け軸と組み合わせて展示することもある。そう、盆栽とつながりは強い。

水石はおもしろい。石の芸術表現というのは世界中にいろいろあると思うけど「水石」の一番のポイントは先に書いたとおり「加工はしない」ということだろう。そこにもしろさを感じるか、感じないかが好みが別れるところだ。僕はすごくおもしろいと思った。加工はできない訳だから、後は自分なりの解釈や見立てで価値を感じることになる。では、すべて主観的な世界かといえば、そうでもない。水石には「名石」と呼ばれる石が存在する。そのルールを学びなら、自分なりの好みを考えていく。

所属させてもらっている会の定期的な展示会。出品はまだ早いなと思っていたら会長から「出品も勉強だから」と展示させてもらうことになった。出品した石は北海道の神居古潭石。独特のツヤとダークな色合い。そして、ミニマムなフォルム。ツヤがほどよく落ち着いているのがいい。あと、やはり形である。水石の美意識とは、単に美しいとか、現実の自然の風景によく似ているという基準ではない。石を見た時「自然のイメージ」をどこまでふくらませてくれるか、というのが価値になる。僕はこの石の中に、静かで威厳のある世界がみえる。想像する。それは、すごく前の時代かもしれないし、同時にすごく未来かもしれない。人はいるかもしれないし、いないかもしれない。そんなことを考えていると僕は石をずっと見ていられる。

僕は「石」については、ずっと興味は持っていた。石(鉱石)をつかったアート表現は好きだったし、海や山に行った時、石を拾って部屋に飾ったりしていた。科学用の石見本を買ったこともある。心の中にすこしづつ石に対する興味が重なっていったと思う。その重なりが多くなっていった時に盆栽の会との出会いがあり、そこから水石の収集家の方との出会いがあった。ひとりで石について考えていた「ひとりの時間」。その出会うまでの準備が、僕に「水石」とつなげてくれたと思う。その自分の準備時間がなければ、せっかくの出会いも、人生の中でなにもなく流れていったことだと思う。

Text byアート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

緑寿会風景

緑寿会看板

緑寿会 春季盆栽展
会期:2017年6月10日(土)~6月11日(日)
会場:室蘭市民会館

 

 

NEWS

NEWS No.17028「近所のホテルは旅になる02『フレイムホテル札幌』」

2017.06.03

フレイムホテル札幌

身近なホテルを楽しむということ。
「近所のホテルは旅になる02『フレイムホテル札幌』」

まず、毎回同じなリード文

ホテルというと、遠出、すなわち旅行で利用する人が多いと思う。僕もそうだ。ただし、時々、なんとなく気分転換のために近所のホテル利用することがある。山や海に行くようにホテルにいくのだ。ホテルがあって海や山があるのではない。ただ「ホテルに滞在することを」楽しむ。そんな体験を紹介していこうと思う。

こんな行動のキッカケは携帯(今ならスマートフォン)のインターネット機能で、ホテル予約サービスができたことが大きい。暇な時に、ネットでホテルを検索する。するとオフシーズンはかなり安い部屋をみつけることができる。

もちろん、そういったプランは限定なので、必ずしも取れるとは限らない。そこはゲーム感覚で、取れればラッキーだと思う。予約ができたら準備をする。シンプルでいい。着替えは下着だけ。MacBook、充電器、ノート、筆記具。そして、本。大きめのディバッグにほうりこむ。そして、僕は「気分変えるために」ホテルに向かう。

いつも同じなリードはここでおしまい。

今回紹介するのは、
フレイムホテル札幌

使い勝手の気持ちよさ。

本ホテルは、ススキノ近いです。エリア内といってもいいでしょう。5分も歩けばお馴染みのススキノ中心部にいけます。ススキノと大通エリアの境目にあるので便利な場所だと思います。まわりもの台風の目のように静かな場所です。古めのコンパクトなビジネス系のホテル。でも、2017年にリニューアルがされたようで、室内もキレイになってます。特に水回りが新しくなっているのがいいですね。
そして、本ホテルは古めで、ちいさなホテルの割には、なかなか居心地がいい宿になっているのですよ。どれも小さめではあるのですが、お茶が飲めるラウンジがあり、大浴場があり、朝ごはんは選べるセットメニュー(洋食×2と和食×1)にビッフェもついてる、本やマッサージチェアのあるリラックスルームがある。どれも豪華とも贅沢ともいえないけど、ここにはホッとする気持ちよさがある。ハイクラスのホテルの非日常な楽しみも素敵だ。だが、本ホテルのような日常の延長にある使い勝手の良さ、というのも魅力的だ。

名称:フレイムホテル札幌
所在地:札幌市中央区南5条西7丁目8番1号
http://framehotel.jp/

 

   ishikawa
Text by アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX

 

 

 

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NEWS No.17027「藤井忠行 励起の記述に 500m 美術館vol.22「北の脈々 -North Line2-」」

2017.05.28

藤井忠行

週末。気分を変えたくてドライブをしてみる。

街をぬけて、自然の風景がひろがっていっく。その時、僕が車窓から目の中に最初に捉えるのは「木」である。風景よりも、まず個々の木の存在に目がいく。

裸の「木」の状態が僕は好きだ。きっと一般的には、たっぷり緑の葉が茂っているほうが好まれると思う。しかし、僕は秋〜冬にかけて緑を失った枝だけにむき出しの「木」が好き。僕にとって木とは緑の葉よりも、枝のみの木本体のフォルムに惹かれるの。だから、冬におけるむき出しの枝に積もる雪、枝々の後ろに広がる風景、空気感、そういったものに魅力を感じる。

思うのだ。緑に覆われた木は、おなじようなカタチに見えて、個性を失ったように見える。それは全体的な「風景」としては魅力はあると思う。だけど、僕は個々の木としては魅力は、緑を失い枝だけになった時、枝ぶりの違いが明確となり、個性が生きてくる。つまり僕は、木は緑の葉っぱの下に個性が隠されているのだ。

藤井忠行1943年生まれ。旭川在住。木を素材とした作品を多く発表している美術家である。

木を素材にしたアート作品というのは、それほど珍しくも特殊でもないと思う。しかし、多くの木を素材にした作品は、アート作品になる過程の中で「木」であることが失われてような感じが僕がするのだ。もちろん、木という素材の持っている木目の優しさ、ぬくもりは僕は感じるし、それは好きだ。ただ、それは車の窓から見える、自然という風景にある木とは、もう違うと感じる。しかし、藤井忠行の作品は木がアート表現としてどう手が加えられていても、僕の好きな「木」を感じる。そえは、木という自然の中のランドマークとして、木を作品化しているからではないだろうか。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

藤井忠行  励起の記述に
500m 美術館vol.22「北の脈々 -North Line2-」」
会期:2017年4月15日(土)~7月5日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)

 

 

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