抽象的に生き方を語るなら、ポップがいい。クールよりも。表現において「クール」と「ポップ」。どちらが好きかといえば、僕はクールです。ただ、それに完全な自信を持って言い切ることはできない。なぜなら、その定義をキッチリすることができないから。定義できないことに自信は持てない。でも「クール」の方が好きだ。では、クールとは何なのか?と考え、思考を深くダイブさせていくと、だんだんわからなくなってくる。それは同時に表現のおもしろさ、複雑さにつながっていく。そして、行き着くのはポップとクールとは、メビウスの輪のような関係性が見えてくる。
SHUUN(シュゥン)は、日常と非日常の間に潜む生き物とその世界をモチーフを平面作品として描くアーティスト。2010年頃から本格的な活動始め、クラークギャラリー+SHIFTの所属作家となる。2012年に海外にも作品を発表。「コメディやSFや怪獣映画、ローファイなものが好き」と語る、その作風は力強い多彩な色遣い、可愛さと怖さ、愛嬌と不気味さがユーモアとゆるやかに同居している。
本展では、新作「エレメント」を中心に、人気の「モジャモジャ」シリーズを含む大小のアクリル画、そして彼が制作初期から描き続けているデジタルペインティングが展示。彼の作品を観て思うのはポップの深度ということである。ポップのアート性の高い表現は、決して簡単なものではない。そこに僕は「深度」がなければいけないと思っている。
SHUUNの作品にはポップな中に、正体の知れないスリラーな刺激がある。もちろん、それは表現の中だけのことで、現実の不安につながる訳ではない。例えるなら映画の良質な演出のような表現。それが僕が好きなポップの深度であり、それをSHUUN(シュゥン)の作品から強く感じる。そして、ポップでクールなのだ。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「シュゥン個展『エレメンツ』」
会期:2017年4月4日(火)〜30日(日)11:00〜19:00(月曜日・第三火曜日休廊)
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3条東2丁目 MUSEUM 2階)
http://www.clarkgallery.co.jp
http://shuun.me/