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SAPPORO GUIDE+ No.013 「北海道知事公館。都市の中の開放」 

2017.04.09

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SAPPORO GUIDE+  No.013 札幌を<初めて楽しく>アートに歩くガイド。

 No.012 「知事公館。都市の中の開放」 ————————————————–

札幌のまち。はじめて旅行等で訪れて、文化的に楽しく歩くガイドの13回目。前回は札幌中心部にあるデパート「三越」について紹介してみました。SAPPORO GUIDE+  No.012 「札幌三越。僕とデパート。3つの条件」。今回は、春になってきたところ。都市中の自然が楽しめる場所を紹介しようと思います。そこは北海道知事公館です。

少し先の話をしてもいいだろうか?具体的な日付もある。4月28日からのことだ。それぐらいになれば、北海道はようやく冬を抜けた感じがしてくる。道外の人は驚くかもしれないね。この地では入学、就職シーズンを過ぎてようやく春な感じがかたまってくる。この季節は活動的な気持ちにさせてくれる。インドアな僕だってそうなのだから。逆説的にいえば「活動的にならなければならない」時期なのかもしれない。北海道の冬という長いトンネルを抜けるための儀式のようなもの。ここを無事クリアして「夏」を迎えることができるのだ。そのためのウォーミングアップ。

さて、ではどこに出かければいいのだろうか?そんなとっかかりに、気持ちよく過ごせる場所を紹介する。その場所とは北海道知事公館。北海道の会合等の使う施設。もともとは三井合名会社の所有。三井札幌別邸の名で迎賓館としてつかわれていました。もとがそうなのでリゾート的というか、ヨーロッパの別荘ふうのイメージがある。白と赤を基調にした目につく外観はモノトーンが多い道内のクラシックな建物とは異なる感じが新鮮だ。

公館の中は見学することもできる。入場は無料。見ることのできる範囲はコンパクト。でも照明のデザインが部屋ごとに違っているなど、ディテールに見所もある。そして、庭園もみどころのひとつ。ここでは、自由に座って楽しむこともできる。また、安田侃や流政之のモダンな彫刻も設置されている。僕は北海道の自然にはモダン〜コンテポラリーなアートが似合うと思う。ひっそりと竪穴住居の跡もあります。

そして、最後に僕が思う一番のポイントを。敷地内の北側には三岸好太郎美術館がある。つまり、ここは北海道建物と自然、そして美術が楽しめる空間なのだ。本年度は4月28日より庭園が開放される。ここで、夏にむかって自分を開放しに行ってみよう。

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Text by アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

知事公館
場所:札幌市中央区北1条西16丁目
営業時間:公館9時~17時(※公務等で見学不可の場合あり) 庭園 8時45分〜17時30分 休館日:土曜・日曜・祝日・年末年始
庭園閉鎖:12月1日〜4月28日 料金:無料 駐車場:なし http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tsh/koukan/gkoukan.htm

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NEWS No.17020「500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心」

2017.03.26

500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心/わにぶちみき

アートはそこにある。

宗教と美術。この2つは日本はもちろん、世界的にも密接な関係を持っていた。美術史の特定の時代では特にそうだ。美術は宗教において有力な「メディア」であった。さて、今はどうだろう?現代社会で僕は宗教と美術、宗教とメディアということを考えると、僕が少しドキドキしてしまう。どこか、自分では触れてはいけないような気がするのだ。僕はそれを過去の歴史とだけ認識してしまう。自分には関係の無い事だと思ってしまう。

風間天心(Tengshing Kazama)美術家、僧侶。1979年東川町出身。宗教と芸術の相互作用を求め、仏教界と美術界を行き来しながら、国内外で多様な活動を続けている。

本展示で素材として使われている水引。冠婚葬祭の時に「ちょこっと」に目にするものが、大量に表現として使われていることに圧倒される。目にするわりにはその意味やルーツについて知らない。そう、まずは本作品は水引についての無知と、アートの素材として大量に使われた時の「強さ」に圧倒されてしまう。ただ、同時、僕の中でとてもポップに、宗教と芸術という難しそうなな枠を飛び越えて語りかけてくれる。水引に興味が出てくる。

作品の印象はやさしげで、おだやか。だから心の中にすっと入ってくる。アートは「わかって見る」もいいが「見てから、わかる」でもいいと思う。僕は宗教について、もっと身近に考えていきたいと思った。そんなキッカケをいただいた作品だ。

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Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心/わにぶちみき」
会期:2017年1月28日(土)~3月29日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)

 

 

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NEWS No.17019「ちいさいメディア〜平成28年度室蘭工業大学市民懇談会 (3)」

2017.03.20

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平成28年度室蘭工業大学市民懇談会 (3)
本委員となった僕が会議に出席して自分の考えたことを書いてみます。
本記事は全3回の3つめの記事になります。
前の記事はこちらです。 

ちいさな実験、ちいさなメディア

さて、本市民懇談会「地方大学における学生教育」というテーマで、本記事でも2回にわけて、本懇談会の中で講演のあった大学や学生の取り組みについて書いていった。今回の3回目では、僕自身のアイディアとして、大学より求められたことを書いてみようと思う。

僕は事前提出を求められた意見書の中で「地方大学における学生教育」のために「小さな実験、小さなメディアを考える」ということを書いた。それはもっと具体的に書くと、以下な感じになる。僕は地域と大学はもっと結びつくべきだと考えている。そのつながりは、学生教育にも役立つことは、今回の懇談会で講演のあった大学や学生の取り組みでも明らかだ。それに、室蘭という工業都市にある会社と室蘭工大は研究や就職先として「つながり」を持てるといい。

でも「つながり」はいきなりは作れない。そのために、僕はいくつかの小さな実験(取り組み)をしてみては、と思う。それはメディアづくりがいい。なぜなら、メディアには「つながり」をつくる機能があるからだ。そのメディアは小さく、試みるのがいい。どうして?それは「大きな実験」は、大きなエネルギーをつかう。それで疲弊する。そして、大きな実験が実施できるのは、その大きな実験が「どこかでの成功例」ということが多い。しかし「どこかの成功例」が「ここ(室蘭)での成功」になるとは限らない。たとえ、まぐれで成功しても基礎的な部分でわからないままの借り物の成功は、継続性は期待できないし、結局地元で「浮いた」ものになってしまうのではないか。または疲弊し続けるか。

だから「小さいメディア」の実験をおこなうのだ。では、どんなメディアがいいか? そこも慌ててはいけない。今は大変メディアづくりが簡単になっている時代。インターネットの無料のブログやSNSを利用すればコストも安い。動画配信だって可能だ。また、まだまだ根強い効果のある紙メディアも、一昔前に比べれば安く作れる時代になっている。でも、メディアづくりはこうした媒体の種類を考える前にメディアを通して「何をやるべきか?」ということを考える必要がある。つまり、メディアを通してどういうことを実現したいのか。

「どんなメディアをつくるべきか?」そこをきめ細かく、地方の実情に合わせて議論を重ねていくことが大切だと思う。もちろん、議論だけではいけない。実践なき議論は虚しいだけである。しかし、議論なき実践も、かなり虚しいし、疲弊でもある。そう書きつつも、実は僕はどちらといえば実践をすぐやりたいタイプである。その理由としては、議論だけではわからない部分が必ずあるからである。

メディアは生き物なのである。つくった人間の思い通りになるものではないのだ。良い意味で、意図しないものとして変化する場合がある。その場合は、その良い部分を伸ばすように変えていけばいい。この柔軟性が大事。だから、メディアづくりはガチガチに決めてやってもいけない。ただ、議論は大切なのだ。

だから、議論をして方向性が決まれば小さなコストでやってみる。大きな予算を引っ張ってくることはないのだ。大きな予算は魅力的だが、企画の柔軟性を奪ってしまう可能性がある。それなら、おこづかい程度の手弁当でちいさく実践するほうがいい。そして、今ちいさなコストでメディアが作れるのだ。

だから、同時平行でいくつかの「ちいさな実験」をおこなえばいい。その中で、良いものを残して育てていけばいいのだ。こうしたやり方は大きな予算のプロジェクトでは難しいことだ。大きな企画は、どこかで落としどころを作らないといけない。しかし、そうして無難にまとめることが、あまり意味のないこともある。それなら、小さく流動的に進めるのがいい。ただ、こうした落としどころが見えにくい実験を続けるのは実に根気と精神力を使う。

でも、逆にいえば根気と精神力があれば、今は低コストでメディアを作っていくことができるのだ。そして、メディアは「ブランド」になり得る。効果的なメディアには人をつなげる力が発生する。ひとがつながれば、なにかが生まれるのである。どんなメディアがあればいいだろう? その発想の仕方は実はシンプルだ。「室蘭で室蘭工大は何を実現したいのか」?そんな逆算から、メディアを考えていけばいいと思う。  そして、小さく試行錯誤でやっていくのだ。議論を重ねて。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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