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NEWS No.17018「北海道情報大学 メディアデザイン展2016」

2017.03.14

情報大学

 

増え続ける「メディア」とは何なのか?
僕たちは常に考えなければならない。

僕は紙メディアやウェブメディアの制作をしながら、わりと自然な形で「メディア・デザイン」の一部を理解していったと思っている。インターネットの出現、特にimode(懐かしい!)から現在のスマートフォンに至る「インターネットの使える携帯電話」は、僕たちの生活を一般させてしまった。「新規契約なら機種料金タダ!」なんて場合もあり、自然な形で、無理なく広まったいった。そのため劇的変化を感じにくい。でも、ふと考えてほしい。今、携帯電話(スマートフォン)の無い生活が考えられるだろううか?自分はスマホ利用しているのだろうか?、それともスマホに利用されているのだろうか? インターネット、携帯電話は僕たちのまわりにある「メディア」をもの凄いスピードで変えて、増えていったのは事実だと思う。そして、それがは今でも進行中だ。

『メディアデザイン展(通称MD展)』とは、北海道情報大学 情報メディア学部 情報メディア学科を中心とした、卒業制作等の学生優秀作品を発表する展示会。平成20年よりスタート。今年で8年目を迎える。この展示の運営は、作品管理から広報、会場スタッフもすべて学生がおこなっている。

写真はその中の出品作品のひとつ、スマートフォン用の片手入力をしやすくする、ソフトウェアを入れたスマホが展示されていた。たしかに、思うのはいわゆるスマホ以前の携帯電話は「片手だけで、すべての操作ができる」という利点があった(電話を持つ手で、操作もおこなうこと)。
しかし、それはスマートフォンの出現でやりにくくなっている。本作品は、そこを考え直す作品。ある意味地味ではあるが、僕はとても大事だと思う。なぜなら「今」が「最良」だとは限らないということだ。先にも書いたがメディアの発達のスピードは速い。そして、僕たちはすぐ忘れてしまう。しかし、過去のメディアを思い出して、現在を考えるのも大事なのだ。本作品はその好例だと感じた。

こうした学生展示の良いところは、プロやビジネスよりの展示とは違う、学生の作品やコンセプトを通して、現在のメディアについて感じてることがわかることだと思う。学生は間違いなく現在のマルチメディアの主要ユーザーであり、そして本展示では同時にメディアを学んでいる学生。そんな2つの視点つくられたもの。そこには、現在のメディアを捉える、または先のメディアを考える機会となっている。その意味で定期的におこなわれる「メディアデザイン展」は貴重な展示だと思うのだ。

「北海道情報大学 メディアデザイン展2016」
会期:2017年 2月 21日(火) ~ 2月 26日(日)
会場:大丸藤井セントラル7Fスカイホール(南1西3)

 

 

 

 

 

 

Text by

アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心/わにぶちみき」
会期:2017年1月28日(土)~3月29日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)

 

 

NEWS

NEWS No.17017「scherzo featuring 加賀城匡貴『お~、あ~、へ~』展」

2017.03.12

sch1

コンパクトな「スケルツォ」の
その魅力を濃厚に書いていきたい。

札幌在住のアーティスト加賀城匡貴の初の個展が開催。そのことは先日の記事で紹介した。この展示の関連企画として、彼のステージパフォーマンスのプロジェクトであるスケルツォが個展開場にて開催。普段は100人規模の会場でおこなうことが多いスケルツォ。コンパクトな会場ながら加賀城匡貴というアーティストの本質が濃縮されたステージになった。以下、僕も濃縮してその魅力を書いていきたいと思う。

スケルツォは加賀城匡貴が日常にあるものを素材とする。それを映像やライブパフォーマンスによって、彼独自の「見方」や「新しい提案」を発表していくステージとなっている。そこには、ユーモアや、かすかなメランコリーがあり、それが魅力となっている。

ナレーションは加賀城匡貴と他のメンバーも担当する(今回は森脇俊文 )。それに弟でありDJ、サウンドクリエイターである加賀城史典がサウンドトラックを担当。さらにライブ・ミュージシャンも登場する(今回はサックスプレイヤー小野健悟)。参加するメンバー内容や会場規模によって人数は変わる。またユニークなのは別の表現者を加えておこなう場合もある。今回は日之出家金助の落語。過去では映画館にて佐藤雅彦の短編映画作品「キノ」上映と2部構成でおこなったり、イギリスのバンドベイカー・ブラザーズと共演というスタイルもあった。

スケルツォとは何なのだろう?現代アートというには説明しきれないし、ステージ・パフォーマンスというだけでは説明が足りない。ではなんだろう?と考えた時、僕が最近になって思うのは加賀城匡貴の頭の中の「アイディア」をシンプルに観客に投げかける 楽しい「授業」ではないだろうか。それに、他のメンバーやサウンド、時には他の表現とコラボレーションしていく。そして、お客さんは、それに対して「わかったり」「少しわかったり」「わからなかったり」するのではないだろうか。実はこのあたりは凄くメディア・アートに通じるワークショップ的なイベントなのかもしれない。スケルツォの定義はこれからも進行形で考えていきたい。なぜなら、スケルツォ自体も僕の受け止め方も変わっていくかと思うから。

sch2

さて、今回のスケルツォの感想を書いてみると、コンパクトな構成ながら、RAKUGO(落語)という新要素の組み合わせは予想以上に良かった。落語自体もおもしろかったし、同時にその演目はスケルツォの世界観を理解する手助けにもなっている。そして、加賀城史典のサウンドトラックも、今回のスケールに合ったコンパクトな良さがあった。そして、ステージ最後のほうで、まるでジャズのインプロビゼーションのように小野健悟のサックスと、加賀城匡貴の映像が繰り出されるあたりはかなりカッコよかった。

ステージの後、10分間の休憩を挟んで、 加賀城匡貴と僕とのアーティストトークがおこなわれた。

ishikawa
Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

scherzo featuring 加賀城匡貴「お~、あ~、へ~」展
日時:2月26日(日)17:00~19:00 ※開場は30分前
出演:加賀城匡貴(na)、森脇俊文(na)、日之出家金助(rakugo)、加賀城史典(pc, key)、小野健悟(sax)
料金:2,500円
定員:30名(先着申込制)
アーティストトーク
ゲスト:石川伸一(メディアプランナー)、司会:森脇俊文
http://scherzosketch.com/

 

 

NEWS

NEWS No.17016「開廊5周年記念「超日本」展」

2017.03.07

超日本

僕は日本の伝統文化・芸術には弱い。でも、今興味を急速に持ちつつある。自分のアートの興味の入口はアメリカやヨーロッパの作品だった。考えてみると、これは不思議な話で、自分は日本に住む日本人なのだから国内アートのほうがはるかに身近なはず。でも、外国作品だった。記憶はあやふやだけど中高の美術でも西洋美術史ばかり記憶に残っている。僕は日本の美術史を知らない。若いころは日本のクラシックなアートには興味がなかったのだ。今は違う。

日本の伝統文化・芸術をモチーフにした日本の現代美術作品も意外に少ないと感じる。それはきっと、アーティスト自身も外国のアート(または、国内の比較的新しい芸術や文化)からの影響が大きかったからではないか。そんな状況も近年変わってきたと思う。現代美術のアーティストが日本の伝統芸術に接近するのは、想像以上に魅力的なことなのだ。それを証明するような展示が本企画である。

札幌のクラークギャラリー+SHIFTにて開廊5周年記念特別展として「超日本」展を開催。その内奥は5組の日本人作家による、書、掛軸、盆栽、枯山水、漆、屏風絵(日本画)、襖絵、能(音)など日本の伝統的なアートの形を現代に表現した作品となっている。

この展示のおもしろさは、現代美術のおもしろさと、日本の伝統文化・芸術の魅力、という二つの要素を同時に楽しめることだろう。2倍の魅力。そして、現代美術ファンも、日本の伝統文化・芸術ファンにもアピールできそうなところ。この2つのファンがこの展示で出会うのを想像するのも楽しい。多次元な構造を持つ、ありそうでなかった企画である。

日本の伝統的芸術・文化は外国からの注目度はとても高い。日本ブランドの重要な部分である。そして、日本のアーティストが、伝統芸術にリスペクトを持って作品を作ることは未来の「日本の伝統文化」を作ることになる。注目しよう。ここには歴史があり日本の未来がある。超日本。

会期:2017年2月4日(土)〜3月31日(金)
時間:11:00〜19:00(月曜日・第三火曜日休廊)
会場:クラークギャラリー+SHIFT(南3条東2丁目 MUSEUM 2階)
http://www.clarkgallery.co.jp
出品作家:ワビサビ(平面、立体)、葛西由香(日本画)、澁木智宏(立体)、渡邊希(立体、漆)、畑中正人(音)

 

 

 

 

 

 

Text by

アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「500m美術館vol.21 第5回500m美術館賞 風間天心/わにぶちみき」
会期:2017年1月28日(土)~3月29日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅内)

 

 

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