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NEWS No.17010-3「高梨美幸 個展」

2017.02.08

高梨美幸

人生とは隠れていることを探す…ことではないか。人生とは「つくる」のではなく「探し当てる」ことではないか。そこわからず、人生を良い方向に進めたいと思う時。僕はやみくもに「つくる」ことに必死になる。材料を探し、なにかを組み立てようとする。または、そのために教えを乞う…でも、実はもっとまわりを見て、探す。それによって容易に人生は開けることもある。結果的にその場合が多い気がする。人生の答は実は身近にあるのだ。まわりが見えていないだけで。

もちろん「つくる」ことも人生には必要だ。「探し当て」ながら、つくっていこう。つまり、それは「受信」と「発信」ということなんだろう。

高梨美幸は札幌在住の画家。個展は今回で2回目。油彩を中心に22点が展示されていた。僕は本展示で、人生を彩るひとつを「探し当てた」気がする。作品は幻想的な第一印象があるが、2度3度と作品をみていると強い現実感を感じてくる。幻ではないのだ。ここにあるのは。描かれている女性、そしてその背景には、リアルな意思が感じられた。つまり、ここにあるのは箱庭的な幻想ではなく、作家の人生観から生み出された地に着いた表現だと僕は感じた。静かな情熱が感じられ、見る者の気持ちの充足感が高い。次回の展示にも期待したい。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「高梨美幸 個展」
会期:2017年1月31日(火)~2月5日(日) A室 10:30-06:30
会場:さいとうギャラリー(南1西3)

 

 

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NEWS No.17009-2「札幌国際舞踏フェスティバル 2017」

2017.02.06

札幌国際舞踏

「舞踏」(Butoh)とは、日本の伝統性と前衛芸術がミックスされたダンス・パフォーマンス。僕は見るたびに日本独自のオリジナリティを感じさせてくれて、興味深い。そして、進化している現代の芸術だと思っている。

その舞踏をテーマにしたイベント『札幌国際舞踏フェスティバル 2017』が開催されている。札幌市の複数の会場にて写真展、オープニングイベント舞踏Bar、ワークショップ、シンポジウム、公演を展開中だ。シンポジウムでは「GLOBALとLOCAL」をテーマに、世界に広がる「舞踏」(Butoh)と地方都市に根付いた舞踏から「新時代の舞踏」を模索する。本イベントは、海外への日本文化の普及と、日本国内における舞踊の価値の再評価を目的にするものである。

本イベントは公演だけではなく、写真展や、シンポジウム、ワークショップもある。そのため舞踏ファン、舞踏パフォーマーを目指す人、舞踏に興味のある人にも魅力のある内容になっている。さまざまな「舞踏」について体験できる貴重な機会だと思う。少しでも興味があれば見に行ってほしい。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

【札幌国際舞踏フェスティバル 2017イベント情報】

2月5日(日)
札幌国際舞踏フェスティバル・オープニングイベント「舞踏Bar」
会場:cafe&bar Radio&Records & CONTE-SAPPORO Dance Center(西区)
時間:OPEN 18:00 START 18:30
料金:1,500円 1drink付き

1月31日(日)~2月12日(日)
舞踏写真展「GLOBALとLOCAL 世界に広がるButohと地域に根付く舞踏展」
会期1 1月31日~2月5日
会場:札幌市資料館(中央区)
会期2 2月5日~2月12日
会場:Rhum & cigar bar 葉柳

2月8日(水)~9日(木)
舞踏ワークショップ(英語)講師:SU-EN
会場:CONTE-SAPPORO Dance Center(西区)
2月8日 14:00~17:00 料金:1,500円

舞踏ワークショップ(日本語)講師:雪雄子
会場:CONTE-SAPPORO Dance Center(西区)
2月9日 19:00~22:00 料金:1,500円

2月10日(金)
舞踏シンポジウム「GLOBALとLOCAL 世界に広がるButohと地域に根付く舞踏
開場19:00 開始19:30 会場:レンガの館(西区・FM三角山放送局)
料金:前売り1,000円 当日1,500円
パネリスト:森下隆(土方巽アーカイヴ)、土方巽記念秋田舞踏会、SU-EN(スウェーデン)、田仲ハル(北海道)、田中誠司(奈良)ほか  通訳:Nonoko Yoshida

2月11日(土)~12日(日)
【メイン演目】舞踏公演
会場:コンカリーニョ(西区八軒1条西1−2)
料金:各回ともに前売り3,000円 当日3,500円 学生2,000円 学生当日2,500円
一日通し券5,500円 二日通し券9,500円
時間:両日ともに 昼の回 開場12:30 開演13:00 夜の回 開場18:00 開演18:30
出演予定:11日昼公演 1、SU-EN(スウェーデン) 2、藤條虫丸(屋久島)

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NEWS No.17008-1「地理。今の大学とは何か? 平成28年度室蘭工業大学市民懇談会 」(1)

2017.02.04

室蘭工大a

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
僕が考えた事。3回にわたって書いていきます。
(1)室蘭工大という「場所」について考えたこと。

室蘭工業大学市民懇談会とは、大学と地域がともに発展するため、広く地域の方々と意見を交換することを目的した会議。室蘭・登別・伊達の3市の市長、商工会議所、教育関係者、メディア関係者と同大学の委員で構成されている。

今回、僕は本委員として選任され出席している。大学内の会議室で開催。今回から3回の連載記事で、会議の様子や、その中で僕が考えたことを書いていきたい。いきますね。

「地方大学における学生教育」

第一回である今回のテーマは「地方大学における学生教育」。会議の構成は、本テーマに沿ったカリキュラム「地域社会概論」と、学生の自主企画として開催された「室蘭本まつり」を紹介。この2つの取組みをベースに意見交換がおこなわれた。話の中では室蘭工大の学生の雰囲気や就職等に関連した内容にもふれていった。順番に書いていこう。

最初に大学カリキュラムとして「地域社会概論」。その内容は室蘭(胆振)という場所を知ってもらう。そのために講義に加えて、学生300人を室蘭のまちを任意のテーマ(例:イタンキ浜「鳴り砂」について調査(取材)。その結果を壁新聞のような形式のポスターに仕上げ、誰もが見られる形で学内で公開した。ワークショップ(体験型講義)の形をみることができる。

本講義の狙いは、学生に室蘭というまちについて、知ってもらう、興味を持ってもらうこと。室蘭工大の新入生は9割近くが室蘭という土地に初めて来た学生。そして、彼らは卒業後もほとんど室蘭(胆振方面)以外に就職していく、という事実。

それはなぜか?
僕が思ったのは、まず地理的なこともあるのかな、ということ。室蘭工大は、市内の繁華街や観光・文化施設とはかなり離れた場所にある。学生の大部分は大学周辺に住んでいる。大学には学生用の駐車場もあり、車を持っている学生もいる。しかし、停まっている車の台数眺めていると、持っていない学生のほうが多いと思った。

そして、大学には夜9時までやっている立派な食堂がある。加えて、自炊には十分な生鮮食料品等も充実している大学生協もある。大学から歩いていける範囲には室蘭焼き鳥の「一平」もあり、飲食店もそれなりにある。すると、車もない、そして経済的にも社会人ほどお金もない、学生は講義のある平日はほとんど学校とその周辺で終わるではないか。では、お休みの日には?と考えると都会的な刺激を求めて札幌に行く学生も多いのではないか。JRだと90分でいける、室蘭工大を経由する札幌行きの高速バスもある。

大学自体と地域とも関係性について、大学側から説明もあった。それはこうだ、大学は自体が地元の企業との積極的な関係性を作ってきたとはいえず、インターンを含めてこれから地元企業との関係性を作っていきたい、ということだった。正直、これは少しびっくりした。工業のまちにある60年以上の歴史ある北海道の代表的な国立工業大学。当然地元企業との密接な関係性があり、共同研究、就職先というのがかなり確立しているイメージがあったのだ。

ここまででわかるのは、学生も大学自体も、大学のある土地(地域)に対して、関係性がそれほど作られてはいない、という僕の印象である。それは意外ではあったが、逆に考えれば、まだ未開のフロンティアであり、まだまだ可能性があるということである。これは素晴らしいことだと思うのだ。

ここまで書いてふと思ったのは、
自分が住む地域に対する「関係性」「思い入れ」(愛着)というのは自然発生するものではない。自分や他者による行動や体験から得られるものである、ということです。つまり、どんなに時間(歴史)経過しても、行動に基づく地元の人間との関係性がなければ、なんら愛着も思い入れも生まれない、ということです。もちろん、物理的な風景や自然に思い入れが生まれることもあるでしょう。でも、それはやはり人との交流を「前提」にしたものではないのでしょうか。

次回は、学生のとりくみについ書いてみますね。(続く)

  

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

平成28年度室蘭工業大学市民懇談会
会期 : 2017年1月30日(月)
会場:室蘭工業大学

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