ARCHIVES / ARTICLE

NEWS

NEWS No.17004-4「Shinya Aota solo exhibition」

2017.01.15

130テラス計画

匿名性とラベル

僕は時々、人前でしゃべる時がある。20〜30人程度の小規模スペースで、お話をする時に気をつけていることがある。教えるような内容の場合は講師用の机が用意されている。これにノートパソコンや資料を置く。そして、飲み物を置くことが多い。主催者に用意されていることもあるし、自分でもってくる場合もある。ペットボトル場合、気をつけていることがある。それが、ペットボトルにある商品のラベルをとるといういことだ。分別のため、ラベルは簡単にとれる。すると、それまで強い自己主張をしていたボトルは、おとなしい無記名なモノになる。

多分、講師をやっている方で、これをする人はあまりいないと思う。僕も誰かに教わった訳ではない。自分がふと思ったのだ。それはラベリングされたものを、ものすごく目立つということ。それはそうだ。買ってもらうため、覚えてもらうためデザインされたもの。それと壇上に僕と一緒に並んだら、受講生の視線はペットボトルに貴重な視線が奪われる訳だ。それは、僕が許さない(笑)。というのは冗談だけど、自分は教える時には、余計な要素がないほうがいいと思っている。だから、僕はペットボトルのラベルを剥がす。ペリッ。

青田真也は美術家。1982年大阪府生まれ。愛知県在住。2006年京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻卒業。2008年愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。その表現は、おもちゃ、カメラ、ラケット、楽器等の誰もは目にし、持っている「表面を削る」ことで作品へと変換する。その表現の意味は、日常と非日常を考え、本質を問いかけるものである。

展示されている「削られたモノ」。この可愛らしさなんだろう。魅力を感じる。隠された。そして「削られる」前を思い出してみる。 すると、剥がされたラベルの情報から機能が浮かび、そのモノがふさわしい場所…スーパーマーケットや、家などもイメージされていく。ラベリングによって、大量生産品ということが頭に入った時のノイズな感覚が頭を悩ます…というのはややオーバーだ。それでも「削られた」後とは、確実に異なる気持ちであることはたしかだ。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

 「Shinya Aota solo exhibition」
期 間:2016年12月16日(金) 〜 2017年1月30日(月)10:00 〜 20:00
会 場:テラス計画(北2西4 赤れんが テラス5階)

============
同時期開催展
青田真也「A.B.」
期 間:2016年12月16日(金) 〜 2017年2月11日(土)11:00 〜 19:00日月休
会 場:salon cojica(札幌市北区北23条西8丁目3-33 coneco bld.1F )

 

NEWS

NEWS No.17005-4「アンティパストのテキスタイル展」

2017.01.12

124グランビスタ

ポップはいつも正しい。札幌は今、冬。まだ終わりはみえない。これから、まだまだ寒いは続く。僕は札幌生まれだけど冬は特に好きでもないし、慣れている訳でもない。ただ、対策ができるだけ。でもね、実は心の奥には冬にある程度の思い入れがある。そのれは、好きや嫌いを超えた、
無いなら無いと落ち着かない気持ちだと思う。

雪国のファッションはどうしても地味になりがちだと思う。コート等のアウターや、セーターも選ぶととなると、地味な色合いの、シンプルなものになりやすい。紺、グレー、ベージュ、黒とかね。それはそれで、無難にいい。でも、ここにはポップはないなぁ。

本展示の「アンティパスト」とは、ジヌシジュンコとカトウキョウコの2人によるアパレルブランド(1991年創立)。アンティパストの本来の意味は「前菜」という意味。本ブランドコンセプトは洋服を料理に例えて、メインデッシュをおいしく食べるには、魅力的な「前菜」のような靴下等の小物を中心としたアイテムを制作している。展示ではテキスタイルや図案から生地ができる制作の過程を展示。靴下などの小物も販売されている。

アンティパストの代表的なアイテムである靴下。一見したところ派手な印象を受けるけど、クラシックな情景を感じさせる「懐かしさ」が絶妙にブレンドされていると感じる。だから、品があって年代を選ばない魅力がある。ここには僕の理想とする、ひとつの「ポップ」がある。北海道の冬。寒くフラット世界。そんな中でアンティパストのアイテムを身につけた人々が行き交う。そんな光景が、もっと観られると、とても素敵なことだと思う。僕は冬を素直に「好き」だといえるだろう。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「アンティパストのテキスタイル展」
会期 : 2016年12月8日(木)~2017年1月24日(火)
会場:グランビスタギャラリー サッポロ(札幌グランドホテル1F)
http://www.antipast.jp/


NEWS

NEWS No.17003-3「石倉美萌菜 個展『やることやりたいことやんなきゃなんないこと 』」

2017.01.09

121CAI02


自由な翼は持てない。

自由な空想・現実。仕事にむかう気分。自由な翼が持てれば、いいなぁと妄想する。これは言うまでもなくメタファーです。欲しいのは本当の翼じゃない。X-MENになりたいわけではないですから。頭の中にあるのは自由。仕事をしない自由かもしれない…そんなことを考えてルーティンの仕事ぬ向かう。数時間後…とりあえず仕事が終わった。そこで、思うのは自由とはなんだろう?と思うこと。僕は何から逃れようとしているのか。

「やることや」「やらなければならないこと」からの開放。それが「自由」なのだろうか。そう考え進めていくと「自由」とはなんだかわからなくなった。でも、本展示には僕に自由について、考えるキッカケをくれたと思う。

石倉美萌菜(Ishikura Mimona)は1986年札幌市生。2009年大谷短期大学部美術科油彩コース、CAIアートスクール卒業。日常の小さな感情をヒントにしたアート表現をおこなっている。その方法は、平面にとどまらず、さまざまな方法を試みている。それぞれの作品は、僕個人の印象では非常にウェットな感触の表現をすると思ってる。そこに少し心が痛痒くなることがある。そこが魅力的なフックになっている。僕の感情がゆらぎ、攪拌(かくはん)されていく。

自由とは実は、にがく、苦しいものではないか。僕は仕事に行くまで妄想する自由が、なにかが違う。自由と制限は実は等価であり、状況によっていくらでも、くるくるまわって、入れ替わるのではないか。そして、アーティストは「自由」という大きく、そして困難な問題と戦っているのではないか。僕は自由を求める前に、自由を「定義」することを考えたい。

ishikawa

Text by
アート・メディアライター  石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「石倉美萌菜 個展『やることやりたいことやんなきゃなんないこと 』」
会期: 2016年12月17日(土)〜 2017年1月21日(土)・13:00 – 21:00・日祝休廊
会場: CAI02 (大通西5 昭和ビルB2)

«...10...596061...70...»
ARTICLE

CATEGORY

LATEST ENTRIES

ARCHIVES

CLASSIC CONTENTS

website design by shie sato

SAPPORO ART & DESIGN MAGAZINE NUMERO DEUX 札幌 アート&デザインマガジン ニュメロデュー

copyright @ NUMERO DEUX allrights reserved.
top