NUMERO DEUX NEWS 16059 札幌のアートなニュース。
フィクション、ノンフィクション
平面の中にある立体性と物語(人生)
人生とは、物語だと思う。ややロマンチックな表現だが、そこは楽観はしていない。物語はすべてハッピーエンドで終わる訳ではない。嫌な終わり方もあるし、曖昧な終わり方もある。物語と人生の違いはなんだろうか?フィクションか、ノンフィクションかそれだけか。「それだけ?その点が大きく違うのではないか」。そうなのか。でも、物語や人生を感じ取る当事者にとっては、実はそれもどちらでも、いいことではないだろうか。事実より「どう感じるか」が僕は大切に思えてくる。そこにフィクションとノンフクションの区別は意味はない。
モリケンイチは1969年生まれの札幌在住の画家。全道美術協会 会友。2002年から2008年末までの6年間はフランスで活動。受賞歴は、第70回全道展 70周年記念賞(最高賞)受賞(2015年)、上野の森美術館大賞展 賞候補入選(2010年)、上野の森美術館「日本の自然を描く展」優秀賞(2010年)、全道展 奨励賞受賞(2013年,2014年)、北の大地ビエンナーレ展 佳作賞受賞 (2011年,2013年)、インターナショナル・イラストコンペティション佳作入選(2013年)、上野の森美術館大賞展入選(5回)。(モリケンイチ ウェブサイトより)
今回の展示では、ミステリアスな少女(達)の「物語」を連作のような形でギャラリーを埋めている。それを眺めていると、彼女たちの現実と、それを見ている自分の現実。いや、彼女たちはフィクションか。もしそうなら、自分は現実か。また、彼女たちが現実なら、自分はフィクションとなるのか。作家の人生と作品の中の物語。作品のビビットな色合いは、逆に僕の頭をモノクロームにしていく。「その森で少女に何が起こったのか?」。現実と非現実を味わうような楽しみが、この作品にある。
Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)
「モリケンイチ展『その森で少女に何が起こったのか?』」
会期 : 2016年10月4日(火)~2016年10月16日(日)10:30-22:00 (日曜20時迄)
会場:to ov cafe(ト・オン・カフェ)(南9条西3)