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NEWS No.16059「モリケンイチ展『その森で少女に何が起こったのか?』」

2016.10.11

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NUMERO DEUX NEWS 16059 
札幌のアートなニュース。

フィクション、ノンフィクション
平面の中にある立体性と物語(人生)

人生とは、物語だと思う。ややロマンチックな表現だが、そこは楽観はしていない。物語はすべてハッピーエンドで終わる訳ではない。嫌な終わり方もあるし、曖昧な終わり方もある。物語と人生の違いはなんだろうか?フィクションか、ノンフィクションかそれだけか。「それだけ?その点が大きく違うのではないか」。そうなのか。でも、物語や人生を感じ取る当事者にとっては、実はそれもどちらでも、いいことではないだろうか。事実より「どう感じるか」が僕は大切に思えてくる。そこにフィクションとノンフクションの区別は意味はない。

モリケンイチは1969年生まれの札幌在住の画家。全道美術協会 会友。2002年から2008年末までの6年間はフランスで活動。受賞歴は、第70回全道展 70周年記念賞(最高賞)受賞(2015年)、上野の森美術館大賞展 賞候補入選(2010年)、上野の森美術館「日本の自然を描く展」優秀賞(2010年)、全道展 奨励賞受賞(2013年,2014年)、北の大地ビエンナーレ展 佳作賞受賞 (2011年,2013年)、インターナショナル・イラストコンペティション佳作入選(2013年)、上野の森美術館大賞展入選(5回)。(モリケンイチ ウェブサイトより

今回の展示では、ミステリアスな少女(達)の「物語」を連作のような形でギャラリーを埋めている。それを眺めていると、彼女たちの現実と、それを見ている自分の現実。いや、彼女たちはフィクションか。もしそうなら、自分は現実か。また、彼女たちが現実なら、自分はフィクションとなるのか。作家の人生と作品の中の物語。作品のビビットな色合いは、逆に僕の頭をモノクロームにしていく。「その森で少女に何が起こったのか?」。現実と非現実を味わうような楽しみが、この作品にある。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「モリケンイチ展『その森で少女に何が起こったのか?』」
会期 : 2016年10月4日(火)~2016年10月16日(日)10:30-22:00 (日曜20時迄)
会場:to ov cafe(ト・オン・カフェ)(南9条西3)

NEWS

NEWS No.16058「日比野克彦展『飛生とブラジル』」

2016.10.10

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NUMERO DEUX NEWS 16058 
札幌のアートなニュース。

人、地域から生まれるアート。
それには人間がいる。

道は「未知」へとつながっていく。未知?それは社会だ。自分と社会のかかわりについて考える。実はひどく狭いことに気がつく。テレビやネット等のメディアを通して、社会を知る。知っているような気になっている。自分と社会のつながりは実は薄い。

現代美術家の日比野克彦は、社会でアートが機能することをテーマに国内外さまざまな地域でアートプロジェクトをおこなっている。そのひとつが明後日朝顔プロジェクト。それは朝顔を育てることを通して、人と地域のコミュニケーションを進める・検証する内容。それは人と人の関係性の中から創造されてくるカタチを芸術の根本と捉える。そして、社会の中における芸術の機能性・多様性を試みる目的があるという。僕は正直「人と人の関係性の中から創造されてくるカタチを芸術の根本と捉える」という部分については、最初抵抗があった。なぜなら、それは芸術と無関係なコミニュケーション論ではないか?という疑問である。でも、よく考えるとコミニュケーションの中から生まれるクリエイティブというは間違いなくある訳で、それを「芸術の根本」と考えるのは、ありなのだなと思う。だけど、小辞意あまりにシンプルでまだ馴染めない。しかしテクノロジー社会の現在では、朝顔を育てる、という自然でシンプルな行為を通して人がアートにつながるうねりを作り出す。それは人間的で、とても価値のあるアートな行為だと思う。

本展示では、日比野克彦が8月ブラジルに滞在していた際に、地球の反対側の飛生のことを思いながら制作したスケッチを展示。同時に飛生で行なっている明後日朝顔プロジェクトの様子も写真で紹介されてる。知っているようで、知らない「社会」。日比野克彦は、土の香りがする素朴とも思える方法でアートと社会を考える。そんな立ち位置が、とても大事に美しく思える。アートとは自然の中で人と作っていけるのだ。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

日比野克彦展「飛生とブラジル」
会 期:2016年9月9日(金)〜10月18日(火)11:00~19:00(最終日17:00まで)
会 場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー内)

NEWS

NEWS No.16057「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち『大黒淳一/オトのカタチ』」

2016.10.10

大黒淳一
NUMERO DEUX NEWS 16057 札幌のアートなニュース。

アートは日常を変えてくれる。
耳で見る。目で聴く。

アートの大切な役割のひとつ。それは「気がつかせてくれる」こと。わたしたちは、自分の予想以上に「気がつかない」日々暮らす。僕なんて、特にそうだ。ドタバタとした雑務で日々が過ぎていく。それで困らないから、いいのか?でも実は困っているのを、わかっていないかもしれない。ドタバタとしかいえない日常。それを変えてくれるがクリエイティヴ(創造)である。創造はアートに隠されている。そして、創造は日常も変えてくれる。創造はアーティストだけのものじゃない。

だから、僕はアートを観る。「気がつく」ために。音楽は好きだ。でも、自分は「音」について意外に知らない。音楽が好きになり、さらに「音」に興味を持っていく。「音」というのは不思議なものだ。あまりにも、身近すぎて気がつかないことも多い。でも、実は私たちの生活、仕事、娯楽には「音」が常にそばにある。でも、非常に音については大雑把に捉えている。音について深く考える、なんてことはとんどない。

大黒淳一は1974年・札幌生まれ。札幌を拠点に「音」をテーマに多彩な表現活動をおこうサウンドアーティスト。幼いころから作曲をはじめ、全国グランプリの受賞歴もある。2006年にベルリンへ渡りヨーロッパ各地で海外CM等の商業音楽から音響空間設計まで幅広い作曲活動をおこなう。同時に現代美術としてのサウンドアート作品の発表を行っている。また、先端的な音をアウトプットする目的で設立したアンビエントレーベル”43d”を主宰。

大黒淳一が表現しつづける「音の視覚化」。そこには、僕たちは「音」について、考えるための大切なヒントが隠されている。音について理解が深まれば、日々の生活の中で接している「音」について、意識できるようになる。そうすると、そこに「楽しみ」を見いだせたり、日常や仕事に役立つアイディアを思いつくかもしれない。アーティストによる探求は、僕たちの生活にも影響を与えるのだ。それを大事にしたい。だから、僕はアートを鑑賞する。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち
『大黒淳一/オトのカタチ』

会期 : 2016年7月9日(土)~2016年10月12日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館

 

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