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NEWS No.16058「日比野克彦展『飛生とブラジル』」

2016.10.10

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NUMERO DEUX NEWS 16058 
札幌のアートなニュース。

人、地域から生まれるアート。
それには人間がいる。

道は「未知」へとつながっていく。未知?それは社会だ。自分と社会のかかわりについて考える。実はひどく狭いことに気がつく。テレビやネット等のメディアを通して、社会を知る。知っているような気になっている。自分と社会のつながりは実は薄い。

現代美術家の日比野克彦は、社会でアートが機能することをテーマに国内外さまざまな地域でアートプロジェクトをおこなっている。そのひとつが明後日朝顔プロジェクト。それは朝顔を育てることを通して、人と地域のコミュニケーションを進める・検証する内容。それは人と人の関係性の中から創造されてくるカタチを芸術の根本と捉える。そして、社会の中における芸術の機能性・多様性を試みる目的があるという。僕は正直「人と人の関係性の中から創造されてくるカタチを芸術の根本と捉える」という部分については、最初抵抗があった。なぜなら、それは芸術と無関係なコミニュケーション論ではないか?という疑問である。でも、よく考えるとコミニュケーションの中から生まれるクリエイティブというは間違いなくある訳で、それを「芸術の根本」と考えるのは、ありなのだなと思う。だけど、小辞意あまりにシンプルでまだ馴染めない。しかしテクノロジー社会の現在では、朝顔を育てる、という自然でシンプルな行為を通して人がアートにつながるうねりを作り出す。それは人間的で、とても価値のあるアートな行為だと思う。

本展示では、日比野克彦が8月ブラジルに滞在していた際に、地球の反対側の飛生のことを思いながら制作したスケッチを展示。同時に飛生で行なっている明後日朝顔プロジェクトの様子も写真で紹介されてる。知っているようで、知らない「社会」。日比野克彦は、土の香りがする素朴とも思える方法でアートと社会を考える。そんな立ち位置が、とても大事に美しく思える。アートとは自然の中で人と作っていけるのだ。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

日比野克彦展「飛生とブラジル」
会 期:2016年9月9日(金)〜10月18日(火)11:00~19:00(最終日17:00まで)
会 場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー内)

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NEWS No.16057「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち『大黒淳一/オトのカタチ』」

2016.10.10

大黒淳一
NUMERO DEUX NEWS 16057 札幌のアートなニュース。

アートは日常を変えてくれる。
耳で見る。目で聴く。

アートの大切な役割のひとつ。それは「気がつかせてくれる」こと。わたしたちは、自分の予想以上に「気がつかない」日々暮らす。僕なんて、特にそうだ。ドタバタとした雑務で日々が過ぎていく。それで困らないから、いいのか?でも実は困っているのを、わかっていないかもしれない。ドタバタとしかいえない日常。それを変えてくれるがクリエイティヴ(創造)である。創造はアートに隠されている。そして、創造は日常も変えてくれる。創造はアーティストだけのものじゃない。

だから、僕はアートを観る。「気がつく」ために。音楽は好きだ。でも、自分は「音」について意外に知らない。音楽が好きになり、さらに「音」に興味を持っていく。「音」というのは不思議なものだ。あまりにも、身近すぎて気がつかないことも多い。でも、実は私たちの生活、仕事、娯楽には「音」が常にそばにある。でも、非常に音については大雑把に捉えている。音について深く考える、なんてことはとんどない。

大黒淳一は1974年・札幌生まれ。札幌を拠点に「音」をテーマに多彩な表現活動をおこうサウンドアーティスト。幼いころから作曲をはじめ、全国グランプリの受賞歴もある。2006年にベルリンへ渡りヨーロッパ各地で海外CM等の商業音楽から音響空間設計まで幅広い作曲活動をおこなう。同時に現代美術としてのサウンドアート作品の発表を行っている。また、先端的な音をアウトプットする目的で設立したアンビエントレーベル”43d”を主宰。

大黒淳一が表現しつづける「音の視覚化」。そこには、僕たちは「音」について、考えるための大切なヒントが隠されている。音について理解が深まれば、日々の生活の中で接している「音」について、意識できるようになる。そうすると、そこに「楽しみ」を見いだせたり、日常や仕事に役立つアイディアを思いつくかもしれない。アーティストによる探求は、僕たちの生活にも影響を与えるのだ。それを大事にしたい。だから、僕はアートを鑑賞する。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち
『大黒淳一/オトのカタチ』

会期 : 2016年7月9日(土)~2016年10月12日(水)
会場:札幌大通地下ギャラリー 500m美術館

 

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NEWS No.16056「市川義一「一日一手」展」

2016.10.05

ichikawa
NUMERO DEUX NEWS 16056 
札幌のアートなニュース。

「続ける」という最高の創造力。
僕も続けたい。

クリエイティヴは時に「点」という誤解があると思っている。僕は「線」だと思っている。放射状の線のイメージ。線は時間軸であり未来につながる。それは優れた表現は長く残り、愛されることを意味する。それは続くこと。僕は「続ける」という言葉が好き。大いなる、憧れでもある。「続ける」というのはなんと素晴らしいことだろう。しみじみ思う。ノイズの多い人生の日々。その中で、なにかクリエイティヴなことを、自分のために「続ける」。それはとても美しい行為だと思うのだ。そして、それは大変難しい。

市川義一は 1943年東京生まれのグラフィックデザイナー。1974 年より札幌を拠点に活動している。市川は2012年のカンファレンスイベントTEDにてスピーカーが話していた「30 日チャレンジ」(自分の人生に加えたいと思っていたことを取り上げ、それを 30 日間 試しにやってみる)に興味を持った。そして、自身の左手をモチーフにした平面作品の制作をスタート。30 日経ったあとも継続することを決め、書き上げた「左手の作品」は 1500 枚を超えた。今回の展示では、2015 年 5 月 21 日から 2016 年 7 月 31 日までの1,532 枚を展示販売をおこなった。

会場に入ると、壁面のほとんどを埋めるその作品数に圧倒される。もちろん、個々の作品もユーモラスな心情を描かれていて素晴らしい。そして、これが2年以上毎日「続けた」結果というところに、僕は一番感動する。本当に「続ける」は美しい。僕の目標にしたいクリエイティヴがここにはある。

会場はグランビスタギャラリーサッポロ。市内中心部にある老舗ホテル「札幌グランドホテル」内にある本ホテルが運営するギャラリー。2013年にオープン。場所は1Fメインロビー内の目立つ場所にあり行きやすい。ホテルを訪れる多くの人に自由にデザインや芸術文化に触れてもらい、ホテルを介して地域と市民、文化の新たな繋がりを創造し、市民生活への貢献を図っている。こうした、独立したギャラリーのあるホテルは札幌では他にみられないと思う。宿泊客だけではなく、市内に住む人にも魅力的なアート・スポットである。

Text by
アート・メディアライター 石 川 伸 一 (NUMERO DEUX)

「市川義一「一日一手」展」
会 期:2016年8月18日(木)〜9月6日(火)11:00~19:00(最終日17:00まで)
会 場:グランビスタギャラリー サッポロ(北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー内)
記念トーク&レセプション:8月18日(木)18:30~20:30http://www.grand1934.com

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